日本大百科全書(ニッポニカ) 「イシャウッド」の意味・わかりやすい解説
イシャウッド
いしゃうっど
Christopher Isherwood
(1904―1986)
イギリスの小説家。1930年代の「オーデン・グループ」に属する唯一の散文作家。代表作にはヒトラー政権出現前のベルリンを舞台にした『ベルリン物語』の名でよばれる三部作『ノリス氏汽車を乗り替える』(1935)、『サリー・ボウルズ』(1937)、『ベルリンよ、さらば』(1939、邦訳名『救いなき人々』)がある。ほかにオーデンと合作で数編の実験的詩劇と日中戦争従軍記を書いた。第二次世界大戦勃発(ぼっぱつ)後、オーデンとともにアメリカに移住、『シングル・マン』(1964)などの小説の創作のかたわら、ハリウッドの映画の脚本も執筆した。
[沢崎順之助]
『中野好夫訳『救いなき人々』(1952・文芸春秋)』