日本大百科全書(ニッポニカ) 「イパーチェフ」の意味・わかりやすい解説
イパーチェフ
いぱーちぇふ
Vladimir Nikolaevich Ipatiev
(1867―1952)
ロシア生まれの化学者。1892年砲術学校を卒業後、1897年ミュンヘンでバイヤーに学び、イソプレンの構造を決定した。その後、イソアミルアルコールの熱分解において器壁の効果がきわめて大きいことに注目し、銅や亜鉛の酸化物およびアルミナが脱水素触媒となることを発見した。1904年、考案した高圧ボンベを用いて逆反応である高圧水素添加に成功し、化学反応における圧力の重要性を示した。1927年レニングラード高圧研究所を設立したが、1931年アメリカに移住し、ノースウェスタン大学高圧研究所長に就任した。
オートクレーブを初めて導入し、高圧接触化学反応の先駆者として、石油の精製および炭化水素の触媒反応で多大の業績をあげた。
[矢木哲雄]