インパチエンス(読み)いんぱちえんす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「インパチエンス」の意味・わかりやすい解説

インパチエンス
いんぱちえんす
[学] Impatiens walleriana Hook.f.
Impatiens sultanii Hook.f.

ツリフネソウ科(APG分類:ツリフネソウ科)の多年草であるが、園芸上は一年草として扱う。南アフリカ原産。和名アフリカホウセンカ。最近は品種改良が進み、一代交雑種の矮性(わいせい)多花の栽培しやすいものが多く利用される。夏花壇、吊(つ)り鉢、プランター植えなどによく、半日陰にも育ち、樹陰でもよく開花する観賞価値の高い植物である。花色も豊富で、赤、桃、橙(だいだい)、赤紫、白やそれらの白覆輪咲きなど非常に多彩で、八重咲きや葉に白斑(ふ)入りのものなどもある。近年ニューギニア・インパチエンスNew Guinea hybr.といわれる大輪系の新種が開発され、銅葉、白黄斑葉など複雑な覆色葉をもつ大形品種があり、ほとんどの品種に植物特許がついていて自家増殖が禁じられている。栽培は実生(みしょう)、挿芽も容易で、実生は20~25℃でよく発芽する。発芽後は軽く日よけをして育苗し、徐々に日当りを強くしながら育てる。生育適温は20℃内外である。ニューギニア系、八重咲き系は挿芽で繁殖する。川砂などに挿芽をし、20~25℃で約2週間後に発根する。移植後は日よけをし、活着をよくする。生育が旺盛(おうせい)で水を好むため灌水(かんすい)は十分にする。根詰まりをおこしやすいので早めの植え替えをし、追肥を施すと長期間花を咲かせることができる。

[金子勝巳 2021年3月22日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「インパチエンス」の意味・わかりやすい解説

インパチエンス
Impatiens; balsam

本来,ツリフネソウ科ツリフネソウ属の総称であるが,園芸的にはアフリカホウセンカ I.wallerianaの園芸品種群をさす。熱帯アフリカ原産の多年草。草丈 30~50cmで,披針形の葉は互生する。花は5弁で平開し,花色は緋紅色,朱色,紫紅色,桃色,白色など。白い斑 (ふ) の入る品種もある。よく分枝して株張りがよいので,鉢植えや花壇などに利用しやすく,多くの園芸品種が作出されている。本来は多年草であるが,園芸的には一年草扱いされることが多い。夏の花苗として流通し,花期は5~10月頃。花壇栽培に向く耐暑性の強い品種もあるが,もともと森林内の川沿いなどに自生する植物のため,栽培環境としては湿気のある半日陰が理想的。暑さにはやや弱い。増殖は挿木が容易。種まきは春に行うが,好光性種子なので覆土はしない。最低5℃以上で越冬する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

太陽フレア

太陽の表面にあるしみのように見える黒点で起きる爆発。黒点の磁場が変化することで周りのガスにエネルギーが伝わって起きるとされる。ガスは1千万度を超す高温になり、強力なエックス線や紫外線、電気を帯びた粒...

太陽フレアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android