六訂版 家庭医学大全科 「ウェゲナー肉芽腫」の解説
ウェゲナー肉芽腫
ウェゲナーにくげしゅ
Wegener's granulomatosis
(鼻の病気)
どんな病気か
ウェゲナー肉芽腫は、①鼻を中心とした気道、耳、眼、肺の肉芽腫、②全身の血管の炎症、③腎臓の炎症を3主徴とする難治性の病気です。病型には①~③のすべてがそろった全身型と、腎臓の病変を伴わない限局型とがあります。
比較的まれな疾患で、治療を受けている患者さんは全国で700人程度です。男女差はなく、好発年齢は30~60代とされています。
原因は何か
血管炎の一種とされていますが、はっきりした原因はわかっていません。しかし、本症の患者さんの血液中に
症状の現れ方
①耳・鼻・のどの症状
70~80%の症例は耳鼻咽喉科領域の症状で初発します。鼻の症状としては、鼻づまり、
②眼の症状
約半数に眼の症状が現れます。眼がはれる、よく涙が出る、物が二重に見えるなどの症状です。
③その他の症状
全身型では、発熱や体重減少のほか、皮膚症状、肺症状、腎症状などが現れることがあります。
検査と診断
本症の頻度は比較的少ないので、診断が困難なことがあります。とくに、限局型や非活動期では確定診断に至らないことがよくあります。患者さんの血清中に存在するC(PR3)ANCAを測定することが有用です。さらに鼻の病変の組織をとって調べる生検も有力な診断法になります。
治療の方法
治療の要点は、重症度に応じて薬剤を選択して完全
これまで予後は一般に不良といわれてきましたが、早期診断、早期治療が増加するにしたがって、予後は著しく改善してきました。しかし、寛解したあとも長期の観察が必要です。
病気に気づいたらどうする
前述の症状があれば、設備の整った総合病院の耳鼻咽喉科への受診をすすめます。
河田 了
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報