改訂新版 世界大百科事典 「ウミサソリ」の意味・わかりやすい解説
ウミサソリ
eurypterid
オオサソリともいう。節足動物広翼目Eurypteridaの化石動物で,体は長く,外皮はキチン質よりなる。頭胸部(前体)はかなり大きく,上面は背甲でおおわれ,各1対の単眼と複眼がある。腹側には6対の肢があり,第1肢は口の前にあり鋏肢(きようし)をなす。第2肢が捕獲肢をなすものもあるが,多くのものは第2~6肢が歩脚で,第6肢が最も大きく,遊泳や砂泥を掘るのに適するものが多い。腹部は後ろに細くなる12の体節よりなり,7節の前腹部(中体)と5節の後腹部(後体)にわかれる。前胸部には鰓板(さいばん)と生殖器官がある。腹部の先端には尾剣があり,剣状にとがったもの,サソリの尾剣に似たもの,遊泳用にひれ状になったものなどがある。ウミサソリの名があるが,主として淡水ないし汽水に生息していたらしい。古生代オルドビス紀に出現し,シルル紀後期に最盛に達し,二畳紀には絶滅した。小型のものもあるが,大きなものは1mを超え,1.8mに達するものもあった。エウリプテルスEurypterusはウミサソリ中の代表的なものでヨーロッパ,北アフリカ,アジアのオルドビス紀~石炭紀の地層より産出するが,20~30cmほどの小型のものが多い。ウミサソリの化石はまだ日本から産出の報告がない。
執筆者:藤山 家徳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報