ウルマン(読み)うるまん(英語表記)Regina Ullmann

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウルマン」の意味・わかりやすい解説

ウルマン
Ullmann, Liv

[生]1939.12.16. 東京,東京
ノルウェーの女優。フルネーム Liv Johanne Ullmann。飾らない美しさと知性陰影に富んだ演技で知られ,スウェーデンの映画監督イングマール・ベルイマンの作品に数多く出演している。エンジニアだった父親の仕事の都合により日本で生まれ,ノルウェー,カナダ,アメリカ合衆国などで育った。10代のときロンドンとノルウェーで演技を学び,オスロの国立劇場で上演された演劇数本に出演。ベルイマン監督とは『仮面/ペルソナ』Persona(1966)に主演して以来,長年にわたって公私両面でパートナーとなった。ベルイマン作品での演技は幅広い称賛を浴び,国際的なスターの座を獲得。2人が組んだ作品には『狼の時刻』Hour of the Wolf(1968),『叫びとささやき』Cries and Whispers(1972),『秋のソナタ』Autumn Sonata(1978)などがある。映画出演のかたわら,舞台でも活躍。アメリカの演出家ホセ・キンテーロと組んだ作品も多い。1990年代には監督業にも乗り出し,ベルイマン脚本による『不実の愛,かくも燃え』Trolösa(1999)などを手がけた。

ウルマン
Woolman, John

[生]1720.10.19. ニュージャージー,アンコーカス
[没]1772.10.7. イギリス,ヨーク
アメリカのクェーカー伝道者。正規の教育は受けず,仕立屋をはじめさまざまな仕事をしながら,諸処を遍歴して説教した。奴隷制度に反対する『黒人所有に関する考察』 Some Considerations on the Keeping of Negroes (1754,1762) をはじめ多くの著作があるが,彼が 36歳から死ぬまで書き続けた『日記』 Journal (1774) は,当時の宗教生活記録として,また精神的自伝として重要。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウルマン」の意味・わかりやすい解説

ウルマン(Regina Ullmann)
うるまん
Regina Ullmann
(1884―1961)

スイス女流作家。ザンクト・ガレンに生まれる。早くからミュンヘンで創作活動に入り、リルケにその「純粋な詩的才能」を認められた。夢想的な『詩集』(1919)を残しているが、今日ではむしろ、素朴で写実的な短編小説の才能を評価されている。2巻の『作品集』(1960)に収められた短編小説は、目だたない人々や見捨てられた人々の生活をユーモアに満ちた筆致で描き、ケラー以来のスイス散文の伝統を受け継いでいる。

[岩村行雄]


ウルマン(John Woolman)
うるまん
John Woolman
(1720―1772)

アメリカの植民地時代のクェーカー派の博愛家。服屋、パン屋、商店主として自活、のち巡回伝道者となる。インディアンや黒人奴隷を正当に扱うことを主張し、富貴と戦争とを批判、富の公平な配分を唱えた。文体は明晰(めいせき)、『黒人使用の考察』(1754)、『貧民弁護論』(1763)、『日記』(1774)が優れている。

[紣川 羔 2018年1月19日]

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