六訂版 家庭医学大全科 「エイズ脳症」の解説
エイズ(AIDS)脳症
エイズ(AIDS)のうしょう
AIDS encephalopathy
(脳・神経・筋の病気)
どんな病気か
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染末期、すなわち最終段階で発症する脳症です。大脳白質、深部
原因は何か
HIV1が直接関係しています。神経障害を引き起こす原因として、2つの場合が考えられています。HIV1感染そのものによる直接的障害と、HIV1感染に対する生体の免疫反応から生じる脳障害物質による間接的障害です。とくに後者の説が有力視されています。
症状の現れ方
エイズ脳症の臨床症状は、認知、運動、行動障害を中心とした進行性の認知症が特徴です。しばしば集中力の低下、物忘れ、作業能率の低下などを訴え、無気力になったり、あらゆることに興味を失ったりします。また、幻覚、
発病初期には運動障害はみられませんが、病気が進むと不安定な歩行、下肢の脱力、
末期には高度の認知症を示し、周囲に対して意味ある反応を示さず、ほとんど植物状態になります。約6カ月で
検査と診断
特有な診断法はなく、臨床所見や検査結果を参考に米国神経アカデミーの診断基準に照らして総合的に診断されます。概略すると、①HIV1感染の証明、②認知運動機能障害の診断、③他の神経合併症の除外によってエイズ脳症と診断されます。
血液検査ではCD4陽性リンパ球数が200個/μℓ未満で、
治療の方法
エイズの治療戦略としてHAART、すなわち
病気に気づいたらどうする
物忘れ、集中力の低下、思考の
綾部 光芳
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報