日本大百科全書(ニッポニカ) 「エステル交換」の意味・わかりやすい解説
エステル交換
えすてるこうかん
transesterification
エステルにアルコール、酸または他のエステルを反応させて、エステルを構成する酸基(カルボン酸の場合はアシル基)、またはアルキル基を交換する反応をいう。エステル基交換、エステル置換とよばれることもある。エステルの構造をRCOOR'とすると、一般に、次の3通りのタイプのエステル交換反応がある。
(1)アルコーリシス アルコールを作用させてアルキル基R'を交換する反応で、触媒としてナトリウムアルコキシドなどを用いる。
(2)アシドリシス 酸を作用させてアシル基RCOを交換する反応で、通常、硫酸などを触媒として用いるが、触媒なしで酸とエステルを加熱してもおこる。
(3)エステル相互交換 2種類のエステル(RACOOR'AとRBCOOR'B)の間での交換で、ナトリウムメトキシド、水酸化スズなどの触媒を用いる。
RACOOR'A+RBCOOR'B
―→RACOOR'B+RBCOOR'A
この反応は油脂の改質などに利用され、油脂工業において重要である。
[廣田 穰]