中世フランスの法曹官僚。カペー朝王権のもとで,13世紀後半に姿を現し,14世紀前半まで顕著な役割を果たした。13世紀フランスにおける王権の強化と,法学教育・研究の発展とによって,国王の周辺に専門的法学知識をもつ官僚が集結した。法学とは,この時代にようやく体系的適用の手法を確立しはじめたローマ法学であり,慣習的封建法の圏域にいたるまで,普遍的適用を主張した。他方,王権は封建的権力分散を克服すべく,国家統合原理を求めており,とりわけフィリップ4世(在位1285-1314)は,諸政策を通じて成果を目ざしていた。以上のようなフランスの政治状況において,レジストの活動が可能かつ必要となったのである。レジストは最高法院,尚書局,財務局,大学法学部などに属し,また国王の私的執事,地方行政官ほか,多様な職務にもついた。フィリップ4世下の代表的法曹家にはアンゲラン・ド・マリニー,ピエール・デュボア,ピエール・フロート,ジール・エスラン,ギヨーム・ド・ノガレ,フィリップ・ド・ビルプルーらがいる。レジストは,公的法技術によって国家統合に貢献し,かつみずからは封建支配層ではなく市民階層出身であったとして,近代フランス国家の淵源をなすと,高く評価された。しかし,果たして予想されるほど緊密な集団であるか,またその活動が国王の私的利益をこえた公共的なものであるかどうかには,疑問がある。カペー朝の断絶とともに,レジストと称しうる官僚層は急速に姿を消した。
執筆者:樺山 紘一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
… イタリアでははやくも12世紀に法律家身分が形成されており,フリードリヒ2世の宮廷では法律家団が重要な役割を演じている。フランスでは法律家(レジストlégiste)が13世紀中葉以降国王に仕えているが,同世紀末にはパリの高等法院(パルルマン)の裁判官の過半数を法律家が占め,14世紀に入ると独占するところとなった。ドイツでは法律家(ユリストJurist)という外来語が1300年ごろには定着して用いられており,ルドルフ1世以来,法律家はつねに国王の顧問会に席を占めている。…
… イタリアでははやくも12世紀に法律家身分が形成されており,フリードリヒ2世の宮廷では法律家団が重要な役割を演じている。フランスでは法律家(レジストlégiste)が13世紀中葉以降国王に仕えているが,同世紀末にはパリの高等法院(パルルマン)の裁判官の過半数を法律家が占め,14世紀に入ると独占するところとなった。ドイツでは法律家(ユリストJurist)という外来語が1300年ごろには定着して用いられており,ルドルフ1世以来,法律家はつねに国王の顧問会に席を占めている。…
※「レジスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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