日本大百科全書(ニッポニカ) 「エネルギー・環境会議」の意味・わかりやすい解説
エネルギー・環境会議
えねるぎーかんきょうかいぎ
2011年(平成23)3月の東日本大震災により発生した福島第一原子力発電所事故を踏まえ、エネルギーと環境に関する国家戦略を総合的に議論する会議。事故当時の内閣総理大臣であった菅直人(かんなおと)の発案で、同年6月に政府の国家戦略室に設けられた。議長は国家戦略担当大臣で、会議の参加者は、経済産業、環境、外務、文部科学、農林水産、国土交通、内閣府特命担当の各大臣である。原発の再稼働と事故時の対応策、節電や省エネのあり方、再生可能エネルギーの普及策、発送電のあり方などについて幅広く議論している。
安全で安価なエネルギーを安定的に供給するには、原子力、火力、水力、地熱、風力、太陽光など電源ごとの発電コストを比べる客観的データが必要であるとの指摘を受け、2011年10月に同会議内にコスト等検証委員会を設置。同年12月に、原発事故コストなどを勘案した電源別コストを公表し、複数のエネルギー源の望ましいあり方(ベストミックス)について検討した。これを受け2012年9月には、従来のエネルギー政策を抜本的に見直す「革新的エネルギー・環境戦略」を決定、(1)原発に依存しない社会の一日も早い実現、(2)グリーンエネルギー(風力、太陽光、小規模水力、地熱、バイオマスなど比較的環境負荷を与えないエネルギー)革命の実現、(3)エネルギーの安定供給、を三本の柱として掲げた。
エネルギーに関する政府の会議には、このほか、エネルギー政策基本法に基づく総合資源エネルギー調査会(経済産業省)や原子力政策を審議する原子力大綱策定会議(内閣府・原子力委員会)がある。
[編集部]