エルツベルガー(読み)えるつべるがー(英語表記)Matthias Erzberger

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エルツベルガー」の意味・わかりやすい解説

エルツベルガー
えるつべるがー
Matthias Erzberger
(1875―1921)

ドイツの政治家。カトリック中央党に属し、1903年以来、帝国議会議員。1906年ドイツの植民地行政を攻撃して名をあげ、党の有力者となった。第一次世界大戦前半は併合論者であったが、のちに和解の平和路線に転じ、1917年議会で平和決議を出した。帝政最後のバーデン内閣に入閣、休戦協定調印。その後蔵相として、税制改革、中央政府の強化に努めた。反共和派の政敵ヘルフェリヒから公私混同を批判され、1920年3月ヘルフェリヒとの裁判において不利な判決を受けたため、一時政界から退いた。のちに復帰を企図したが、エルツベルガー敗戦と共和国の象徴として、国粋派から憎まれ、1921年8月26日右翼テロリストに暗殺された。

[木村靖二]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エルツベルガー」の意味・わかりやすい解説

エルツベルガー
Erzberger, Matthias

[生]1875.9.20. ウュルテンベルク,ブッテンハウゼン
[没]1921.8.26. シュワルツワルト,バートグリースバハ
ドイツの政治家。 1903年国会議員となり,中央党左派を率いて政府の植民地政策,戦争政策に反対,17年に議会で第1次世界大戦の休戦決議を成立させ,休戦委員会議長として,コンピエーヌの森で休戦条約に調印。副首相,蔵相として戦後財政再建に奔走したが右翼のテロに倒れた。

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