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宗教政党 シュウキョウセイトウ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

宗教政党
しゅうきょうせいとう

世界観政党の一種で、教会、教団ないしは宗教結社の社会生活における既得権ないしは信仰の擁護を目的とする政党をいう。今日の宗教政党の原型はドイツ帝政時代の中央党である。ビスマルクはドイツ帝国創設後まもなく教育と社会生活におけるカトリック教会の影響力を排除し、市民革命を経た先進諸国ですでに解決済みの社会生活の世俗化を図る「文化闘争」を開始したが、それによって既得権を脅かされたカトリック教会は1871年、信者を政党に組織して国家権力と対決した。この政党が中央党である。すでに同党の登場前にあった二つの社会主義政党が1875年合同し、労働者階級の間にその影響力を拡大し始めたので、ビスマルクはそれを抑えるために、79年文化闘争を中止し、中央党と妥協してそれを社会主義勢力弾圧体制の一翼に組み込んだ。その後、中央党は、新教の教会特権の擁護をその目的の一つとする保守党と連合して、帝政の支配政党となった。そしてナチス政権成立まで、ドイツ政治が右傾化すると党内右派が保守勢力と組み、革命など体制の危機状況では党内左派が党指導権を掌握し社会民主党と連合して、つねに政治の主導権を握り万年与党の地位を占め続けた。このように中央党がドイツ政治の枢軸となった理由はその宗教政党としての特異性にある。同じ世界観政党である社会主義政党と比較して、それは後者が階級政党で革新を標榜(ひょうぼう)するのに反して、あらゆる階層を組織した国民政党であるがゆえに中道を絶えず標榜し本質的に保守政党であり、他方、それが保守政党と違う点は革命的イデオロギーに対抗できる世界観政党であるという点である。そのため第二次世界大戦後、社会主義革命が現実の問題となると、ヨーロッパのカトリック系の諸国では宗派を超えたキリスト教政党が成立し、それは単独かあるいは社会民主主義政党ないし保守右派政党と連合して政権を担当し、政治の枢軸的地位を占め続けている。その代表的なものは、中央党の後身であるドイツのキリスト教民主・社会同盟と、イタリアのキリスト教民主党などである。戦後日本でも宗教政党として公明党が登場しており、その今後の動向はヨーロッパの宗教政党と同じ行動様式をとるか興味深い。[安 世舟]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の宗教政党の言及

【政党】より


【政党の類型】
現代政党は,その目標や構造的性格などで,いくつかのタイプに分けられる。
[国民政党,階級政党,宗教政党]
 その一つが〈国民政党〉と〈階級政党〉の区別で,国民政党が特定の階級にかかわりなく国民全体の基盤のうえに立ち,国民的利益の実現をめざすのに対し,階級政党は労働者・農民を主要基盤とし,その利益を代表し,社会主義社会の建設を志向する。日本の自民党は〈特定の階級,階層のみの利益を代表〉する階級政党ではなく〈国民全般の利益と幸福のために奉仕〉する国民政党,民社党は〈特定の階級の利害のみを代表する階級政党〉ではなく〈社会集団間の利害の対立とともに国民的利害の共通性をも認める国民政党〉を標榜したのに対し,55年体制下の社会党は労働者階級を中核とする〈階級的大衆政党〉として党の性格を規定していた。…

※「宗教政党」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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