エルナンデス(その他表記)Amado V.Hernandez

改訂新版 世界大百科事典 「エルナンデス」の意味・わかりやすい解説

エルナンデス
Amado V.Hernandez
生没年:1903-70

フィリピンの現代タガログ語文学の作家,詩人,労働運動の指導者。マニラの下町トンドの生れ。大学を中退,タガログ語新聞《マブハイMabuhay》の記者となり,28歳で編集長となった。日本軍政下では抗日ゲリラとして活躍。戦後はフィリピン最強の労働団体CLOの委員長に選ばれたが,1951年1月,キリーノ政権のフクバラハップ弾圧政策で逮捕され,無期懲役囚として6年間投獄された。64年に無罪の最高裁判決を得て,再び反戦・反帝国主義運動に専心。67年にはB.ラッセルの招きで〈ベトナム反戦国際裁判〉に出席。パランカ賞をはじめ三十数個の文学賞を受賞。おもな詩集に《一片の空》,小説に《鰐の涙》《猛禽》などがある。
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エルナンデス
Maximiliano Hernández Martínez
生没年:1882-1966

エルサルバドルの軍人,独裁者。1931年にクーデタによって政権につく。大不況下の同国で通貨制度の改革や国立銀行の創設,コーヒー産業の国家統制等の経済改革を行う一方で,反対派に対しては過酷な弾圧政策でのぞみ,とくに32年の土地を要求する貧農に対する大虐殺は有名である。大規模な民衆反乱の結果,44年に大統領の座を降りたが,彼の在任中に軍部の組織的な政治介入の基礎がつくり上げられた。
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エルナンデス
Francisco Hernández
生没年:1517?-87

スペインの博物学者,医者。1567年フェリペ2世の侍医となり,王命により70-77年の間メキシコ原住民社会の伝統医療の研究と薬草の収集・調査に従事した。帰国後フェリペ王子(後のフェリペ3世)の侍医として宮廷で活躍するかたわら,メキシコでの調査を《ヌエバ・エスパーニャ自然誌》17巻にまとめ,新大陸の植物研究に初の足跡を残した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エルナンデス」の意味・わかりやすい解説

エルナンデス(José Hernández)
えるなんです
José Hernández
(1834―1886)

アルゼンチンの詩人。牧畜業の家に生まれ、牧童(ガウチョ)の生活や考え方を体得。彼らの地位向上を唱えて政治的にも活躍するが、一時亡命、帰国後は著作に専念した。代表作である『マルティン・フィエロ』――1人のガウチョが戦いに召集され、脱走し、帰郷すると家族は離散、ふとしたことで人を殺し、警察に追われ放浪する第1部『エル・ガウチョ、マルティン・フィエロ』(1872)、家族と再会する第2部『マルティン・フィエロの帰還』(1879)――は、スペインの英雄叙事詩『わがシードの歌』に匹敵するもの、またアルゼンチンのもう一つの聖書ともいわれ、国民すべてに愛唱され、内外の作家、批評家に絶賛されている。

[安藤哲行]

『大林文彦・玉井一郎訳『マルティン・フィエロ』(1981・たまいらぼ)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エルナンデス」の意味・わかりやすい解説

エルナンデス
Hernández, Miguel

[生]1910.10.30. オリウェラ
[没]1942.3.28. アリカンテ
スペインの詩人。農民の子に生れた農民詩人。農牧のかたわら独学,スペイン古典文学との出会いによって,詩作への関心を開かれた。作品にはネオバロックを基調とする前衛詩『絶えざる光線』 El rayo que no cese (1936) や,内乱の戦場から妻に寄せた『人民の風』 El viento del pueblo (36) がある。フランコ側に捕えられてからは地味で求道的な詩風に変った。獄中にて死亡。

エルナンデス
Hernández, José

[生]1834.11.10. ブエノスアイレス,チャクラデプエイレドン
[没]1886.10.21. ベルグラノ
アルゼンチンの詩人,政治家。代表作『ガウチョ,マルティン・フィエロ』 El gaucho Martín Fierro (1872) ,『マルティン・フィエロの帰郷』 La vuelta de Martín Fierro (79) は「ガウチョ詩」の最高傑作とされる。

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百科事典マイペディア 「エルナンデス」の意味・わかりやすい解説

エルナンデス

アルゼンチンの詩人。ブエノス・アイレス州ペドリエルで生まれ,幼いころからインディオ,ガウチョに囲まれて育った。19世紀後半に後進性と野蛮性から社会的に締め出される傾向にあったガウチョを擁護する側に回った。1872年に発表した物語詩《ガウチョのマルティン・フィエロ》と続編《マルティン・フィエロの帰郷》(1879年)はベストセラーとなり,ガウチョ文学の最高傑作とされている。

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世界大百科事典(旧版)内のエルナンデスの言及

【幻覚薬】より

…キリスト教の伝道者がこれを悪魔的なものとして追放しようと努めたが,インディオたちがキリスト教に改宗してからも,こうした植物に対する信仰は残った。メキシコで使われるオロリウクイololiuquiはヒルガオの一種Rivea corymbosaの種子で,1941年にハーバード大学の植物学者シュルテスR.E.Schultesが詳しく調べるはるか以前の1651年に,早くもスペインの医師エルナンデスFrancisco Hernandezが〈これを食べると譫妄(せんもう)状態になり,幾百もの景色が見え,悪魔的幻覚が現れ……〉と記録している。その種子を分析したホフマンAlbert Hofmannによると,有効成分はリゼルギン酸アミドとリゼルギン酸‐1‐ヒドロキシエチルアミドで,LSD‐25の1/20~1/40ほどの効力をもつという。…

【エルサルバドル】より

…第1次世界大戦期には中立を守っている。1929年の世界恐慌によって,主要産物であるコーヒーが大打撃を受けたあと,経済危機のさなかの31年12月には,誕生したばかりのアラウホ大統領を中心とする政権を,国防相M.エルナンデス・マルティネスMaximiliano Hernández Martínez将軍によるクーデタが打倒する。エルナンデス・マルティネスは独裁権を握り,上からの国家社会主義的な経済・社会政策を推し進めた。…

【エルサルバドル】より

…第1次世界大戦期には中立を守っている。1929年の世界恐慌によって,主要産物であるコーヒーが大打撃を受けたあと,経済危機のさなかの31年12月には,誕生したばかりのアラウホ大統領を中心とする政権を,国防相M.エルナンデス・マルティネスMaximiliano Hernández Martínez将軍によるクーデタが打倒する。エルナンデス・マルティネスは独裁権を握り,上からの国家社会主義的な経済・社会政策を推し進めた。…

※「エルナンデス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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