エルミナ(その他表記)Elmina

デジタル大辞泉 「エルミナ」の意味・読み・例文・類語

エルミナ(Elmina)

ガーナ南部の港町ギニア湾に面する。15世紀末にポルトガル交易拠点としてエルミナ城を建造し、続いてオランダ英国に支配された。金および奴隷の交易によって栄えた。

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改訂新版 世界大百科事典 「エルミナ」の意味・わかりやすい解説

エルミナ
Elmina

西アフリカ,ガーナの海岸,アクラの西約70kmの地名。1470年代にポルトガルのエンリケ航海王子が派遣した西アフリカへの探検航海の船乗りたちが,この地方で大量の金を手に入れ,エル・ミナ(鉱山金鉱)と名づけたのに由来する。エンリケ王子の死後,探検航海の事業をうけついだジョアン2世の時代(1482)には,この地にサン・ジョルジュ・ダ・ミーナSão Jorge da Minaと呼ばれる城砦も築かれ,金を渇望していたポルトガルの,西アフリカからの金積出しの重要拠点となった。16世紀初めの記録によると,毎年8~12隻のカラベル船が,エルミナから年間400~500kgの金をリスボンの造幣所にもたらした。しかし16世紀後半に入ってからは,金は減少し,罪人を送りこむなどして,最盛期の約半数の20~30人の要員を城砦に配置するのが精一杯になった。この金の減少の理由としては,ポルトガル人が,現地民の金の交易機構を十分把握できなかったこと,城砦が王室の厳しい監視下におかれて活動が次第に鈍ったことなどが考えられる。ポルトガルはやがて,金の入手についてはブラジル主力を注ぐようになった。一方,西アフリカ海岸には16世紀後半から,イギリスフランス,オランダも進出し始め,エルミナの城砦は1637年,オランダに奪われた。この頃にはエルミナも,他の城砦と同様,アメリカ向け黒人奴隷の積出しがおもな役割となった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エルミナ」の意味・わかりやすい解説

エルミナ
Elmina

ガーナ南部,ベナン湾岸の町。ポルトガルの交易所として建設され,1482年にはセント・ジョージ要塞が築かれた。この要塞を中心にポルトガルはエルミナ植民地を形成し,同地域の貿易を独占。その後 15世紀末から 18世紀にかけて,オランダ人,イギリス人,デンマーク人,スウェーデン人らによって同様の植民拠点がベナン湾一帯,約 500kmにわたり設けられ,世界でも類をみない一連の交易所群を形成した。ヨーロッパの物品を金,象牙,香辛料などと交換し,のちには奴隷貿易の中心となった。スウェーデン人はケープコーストに,デンマーク人はアクラに,オランダ人,イギリス人はセコンディタコラディにそれぞれ城塞を築いた。現在,博物館,刑務所,学校などとして利用されているこれらの城塞跡は,1979年世界遺産の文化遺産に登録。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エルミナ」の意味・わかりやすい解説

エルミナ
えるみな
Elmina

西アフリカ、ガーナ中南部のギニア湾沿岸にある港町。人口2万6300(2002推計)。1482年にポルトガルの貿易基地として城塞(じょうさい)が建設され、ゴールド・コースト(現ガーナ)の金貿易の中心地になった。1637年オランダ人が占領し、1872年にはイギリス人に譲渡されたが、この間奴隷の積出し港であった。現在は静かな漁港で、城塞はガーナ警察の本部として利用される。

[中村弘光]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「エルミナ」の解説

エルミナ
Elmina

ギニア湾におけるポルトガルの拠点。ポルトガル名はサン・ジョルジェ・ダ・ミナ。ジョアン2世によって要塞が建設され,ギニア湾の金,奴隷取引の中心となった。1637年にオランダに攻略される。

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世界大百科事典(旧版)内のエルミナの言及

【ガーナ】より

…しかしそうした各部族の大移動の末期には,早くもヨーロッパ勢力の侵入が始まっていた。この地域に最初に渡来したポルトガル人は,1482年にはエルミナに,続いてアクシム,シャマ,アクラなど沿岸各地に城塞を築き,これらを根拠地として貿易を行った。この地域をゴールド・コーストと名づけたのは,これらポルトガル人であるが,それはこの地域が金の産地であったことによる。…

【大航海時代】より

…一方,実際の航海活動は国家の独占とされた。1480年ころにはギニア海岸のエルミナに城が建設され,黄金,象牙,奴隷貿易の拠点となった。 81年ころジェノバ人コロンブスがポルトガルの宮廷に現れ,西回りで中国や黄金の国ジパングに到達できると主張し,自らその航海を実行したいと提案した。…

※「エルミナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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