改訂新版 世界大百科事典 「エーミス」の意味・わかりやすい解説
エーミス
Kingsley Amis
生没年:1922-95
イギリスの詩人,小説家。ロンドン郊外で成長。1942-45年第2次大戦に参加。オックスフォード大学卒業後,スウォンジー大学で英文学を講じ(1949-61)ながら文筆に従事。最初は《心の形》(1953)などの詩集を発表していたが,第2次大戦後の地方大学の若い歴史の講師が,周囲のとりすました生活に反逆してさまざまの滑稽な事件を引き起こす小説《ラッキー・ジム》(1954)で一躍戦後文学の旗頭となった。この後も《この不安な気持》(1955),《ここが好き》(1958),《お前のような女を》(1960),《反死同盟》(1966),《今欲しいの》(1968)などの小説を発表しているが,初期の一見反因襲的な面は徐々に減って,紋切型の〈反因襲〉への揶揄(やゆ)など,健康な伝統主義者の面が強まっている。この他,いくつかの詩集と《社会主義と知識人》(1957),《ラッキー・ジムの政治観》(1968)などの評論もあり,50年代から起こった知的経験主義を標榜するニュー・ムーブメントの有力な一人。プリンストン大学(1958-59),ケンブリッジ大学(1961-63)の講師も務めた。
執筆者:鈴木 建三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報