オイルサンド(読み)おいるさんど(英語表記)oil sand

翻訳|oil sand

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オイルサンド」の意味・わかりやすい解説

オイルサンド
おいるさんど
oil sand

粘稠(ねんちゅう)な炭化水素類を含む砂のことをいう。以前はタールサンドとよばれていたが、炭化水素の成因および性状が有機物の熱分解により生成するタールと異なっているので、現在ではオイルサンドとよばれるようになった。オイルサンドには通常4~10重量%の油分ビチューメン)が含まれており、この油の性質はアスファルトと類似している。

 1973年の第一次オイル・ショック以降、オイルサンドは石油にかわる化石燃料の一つとして注目されるようになった。埋蔵量のほとんどすべてはカナダアルバータ州(確認埋蔵量1732億バレル)とベネズエラのオリノコ川北岸(採掘可能量2350億バレル)に賦存しているが、可採鉱量は埋蔵量の数分の1以下と考えられている。

 オイルサンドから得られる油分は重質粘稠であり、炭化水素以外の成分を比較的多く含有している。したがって、合成石油を得るためには、熱分解あるいは溶剤抽出、および水素化処理を施さなければならない。このような技術的問題のほかに、合成石油を製造する際に汚染物質や多くの二酸化炭素が排出されるという環境上の問題があり、なによりも生産コストが高いという欠点があった。しかし、カナダでは数十年も前から大規模な露天掘りが行われ、2009年には日産135万バレルにまで増産、さらに2020年には日産2億9000万バレルまで増産するという計画がある。また、ベネズエラでも2009年には日産約40万バレルの生産が行われている。オイルサンドはオイルシェールとともに非在来型石油と称されている。

[難波征太郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オイルサンド」の意味・わかりやすい解説

オイルサンド
oil sand

油砂,またはタールサンドともいう。カナダのアルバータ州やベネズエラのオリノコ地方に大量に埋蔵されている。一般の原油に比して,オイルサンド中に含まれる原油は比重粘性が極端に大きいために,通常の方法では取出すことはできない。カナダのアルバータ州アサバスカの一部の露天掘りができるところでは,掘出したオイルサンドからスチームで油を溶かし出す方法が商業化されているが,他の大部分のオイルサンドはより深いところにあるため,油層内回収法を適用する必要があり,現在多くの種類の実験が試みられつつある。オイルサンドに含まれる原油だけでも 3000億 kl以上の埋蔵量があるといわれており,オイルシェールに含まれる原油とともに,新しい石油資源として期待されているが,産出コストが割高となるため採算性面で問題をかかえている。

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