日本大百科全書(ニッポニカ) 「シェールオイル」の意味・わかりやすい解説
シェールオイル
しぇーるおいる
shale oil
オイルシェール(油母頁岩(ゆぼけつがん))に含まれている石油類似の有機物(ケロジェン、油母ともいう)のことで、頁岩油ともいう。通常、シェールオイルはオイルシェールを500~800℃で乾留することにより得られる。得られた油は流動点や粘度が高く、しかも窒素分が多いため、合成石油として利用する場合は水素化分解などの処理を施す必要がある。シェールオイルから得られる合成石油は、乾留やその後の処理条件にもよるが、一般にナフサ留分が少なく、灯油、軽油製造に適した200~400℃の留分が多い。
1973年の第一次オイル・ショック以後、シェールオイルからの合成石油製造が脚光を浴びるようになったが、環境、技術、経済的問題が多く、大規模な製造は行われていない。旧満州(中国東北部)の撫順(ぶじゅん/フーシュン)で日本がオイルシェール乾留炉を設計建設、1929年からシェールオイルの生産を開始し、撫順では、1990年代前半に施設の老朽化などによる中断はあったものの、現在もシェールオイルを生産している。
[難波征太郎]