オオカメノキ(読み)おおかめのき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オオカメノキ」の意味・わかりやすい解説

オオカメノキ
おおかめのき
[学] Viburnum furcatum Bl.

スイカズラ科(APG分類:ガマズミ科)の落葉低木。別名ムシカリ。名の意味は諸説があり、よくわからない。樹高は7、8メートルに達し、枝の先が花序で終わり、仮軸(かじく)分枝をする。冬芽には発育不完全な1対の葉がつくが、芽鱗(がりん)とよばれるほどの変態はしていない。若い枝や葉などに鱗(うろこ)状の小さい星状毛が密生する。花序は散房形、周辺の花は花冠が大きくなった装飾花で美しいが、実ができない。花序中央部の花は両性花。花は春に開き、花冠は白色果実は初め赤く、のちに黒くなる。核は腹側に1本の深い溝がある。北海道、本州、四国、九州、樺太(からふと)(サハリン)、さらに朝鮮半島の一部などに分布し、温帯上部に多い。北アメリカや中国に近縁種が知られている。

[福岡誠行 2021年12月14日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オオカメノキ」の意味・わかりやすい解説

オオカメノキ(大亀の木)
オオカメノキ
Viburnum furcatum

スイカズラ科の落葉小高木で,高さ2~4mになる。ムシカリともいう。日本各地およびサハリン,千島などに分布し,やや高い山地に生える。葉は対生し,葉身は厚く円形で先はとがり,基部は心臓形,縁には鋸歯がある。若い葉は両面褐色の毛で密におおわれているが,のちに緑色となる。秋の紅葉が美しい。4~5月頃,枝先に散房花序をつけ,周囲には大きな白色5弁の装飾花があって目立つ。果実は広卵形で赤く熟し,のちに黒く変る。枝は強靭で,柴を束ねるのに用いたり,また輪かんじきをつくる。

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世界大百科事典(旧版)内のオオカメノキの言及

【ムシカリ】より

…冬芽には発育不完全な1対の葉がつくが,鱗片といえるほどの変態はしていない。葉は対生,長さ10~15cm,円心形でその形のためオオカメノキともいう。裏面にうろこ状の星状毛が密生する。…

※「オオカメノキ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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