改訂新版 世界大百科事典 「オオキノコムシ」の意味・わかりやすい解説
オオキノコムシ
Encaustes praenobilis
甲虫目オオキノコムシ科の昆虫。体長16~36mmで,日本産の同科の種の中では最大。黒色で光沢があり,胸部と上翅に赤色の紋がある。北海道~九州に分布し,山地の森林帯に生息する。成虫は食菌性で6~8月に枯木,朽木に生じたツリガネタケなどの堅いキノコ類の上に見られる。幼虫はこれらのキノコが生えたブナの朽木中へ穿孔(せんこう)し,菌糸と朽木を食べる。幼虫で越冬し,初夏のころ朽木中で成虫となる。幼虫の頭部,体節背面,胸脚は淡黄色。体節背面には細かい褐色の顆粒(かりゆう)を並べる。腹部の末端節は後方へ細まり1対の小突起に終わる。オオキノコムシ科Erotylidae(英名pleasing fungus beetle)は世界から2000種以上,日本からは約100種が知られている。成虫は卵形~長楕円形で,触角の先の3節が幅広い。熱帯の多雨林には種類が多い。いずれも食菌性で枯木,朽木に生じたキノコ類に生息するが,体長2~3mmのムクゲオオキノコムシ類Cryptophilusは枯草のカビ類にも見られる。なお,チビオオキノコムシ類Tritoma(Triplax)などはキノコから離れて土中へ潜って蛹化(ようか)する。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報