日本大百科全書(ニッポニカ) 「オダマキ」の意味・わかりやすい解説
オダマキ
おだまき / 苧環
[学] Aquilegia flabellata Sieb. et Zucc. var. flabellata
キンポウゲ科(APG分類:キンポウゲ科)の多年草。日本原産種。茎は高さ20~50センチメートル、平滑な円柱で直立し、よく分枝する。根出葉は長い柄をもつ3出複葉で、小葉は短い柄をもち深く3裂する。5月、茎頂に径3~4センチメートルの青紫、淡紫、まれに白色花を数花、下向きにつける。茎、葉ともに特有の白粉で覆われた緑色。萼(がく)、花弁ともに5枚。オダマキの名は、花の形が、紡いだ麻糸を中をからにして丸く巻いた苧環(おだまき)、または苧玉(おだま)に似ていることからつけられたが、花弁のようにみえるのが卵形の萼で、花弁は長楕円(ちょうだえん)形で上部は白に近い淡黄色、基部は距(きょ)となって内側に曲がる。雌しべは5本、雄しべは多数。庭園用、鉢植えのほか切り花用として栽培される。本州中部地方以北の高冷地、北海道に自生する変種のミヤマオダマキ(深山苧環)var. pumila Kudoから、本種がつくられたと考えられている。日本にはほかにヤマオダマキが自生する。寒地はもとより暖地でも栽培は容易で、冬越しより夏の暑さに注意し、適湿を保ち、半日陰または西日の早く落ちる所がよい。繁殖は春の株分けのほか実生(みしょう)もできるが、秋播(ま)きでは翌年開花しない。最近切り花や花壇用につくられるセイヨウオダマキは、一般にアクイレギアとよばれ、花色が豊富で、高性から矮性(わいせい)種まであり、よく栽培される。12月から翌年の1月に温室で育て、早春に出荷できるので、営利栽培に有利な栽培種である。
[魚躬詔一 2020年3月18日]