苧環(読み)オダマキ

デジタル大辞泉の解説

お‐だまき〔を‐〕【×環】

麻糸を空洞の玉のように巻いたもの。おだま。
キンポウゲ科の多年草。ミヤマオダマキから栽培改良されたもの。高さ20~30センチ。全体に白粉を帯び、葉は長い柄をもち、扇形の小葉からなる複葉。初夏、青紫色または白色の花を下向きにつける。花びら状で同色の萼(がく)があり、花びらの基部は距(きょ)となって曲がる。 花=春》「雲行きて―の花も家もなし/秋桜子
和菓子の一。餡(あん)入りの求肥飴(ぎゅうひあめ)の上に、そば粉でいくつもの筋をつけたもの。
イトカケガイの別名。
苧環蒸(おだまきむ)し」の略。
紋所の名。籰(わく)に糸を打ち違えにきつけた形。
枝も葉もない枯れ木。
「朽ちねただ思ひくらぶの山高み立つ―は知る人もなし」〈夫木・二九〉

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

苧環
おだまき

「苧(お)」とはアサ(麻)の異名で、またアサやカラムシの茎皮からとれる繊維をいい、「苧環」とは、つむいだアサの糸を、中を空洞にして丸く巻子(へそ)に巻き付けたものをいう。「いにしへのしづのをだまきいやしきもよきもさかりはありしものなり」(古今集)。また枝や葉のない枯れ木のことをいうが、一説には、鉾(ほこ)杉(ほこのような形のスギ)を見立てたとする。「谷深くたつおだまきは我なれや思ふ心の朽ちてやみぬる」(狭衣(さごろも)物語)。

[佐藤裕子]

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精選版 日本国語大辞典の解説

お‐だまき を‥【苧環】

〘名〙
① 糸によった麻を、中を空虚にし、丸く巻きつけたもの。おだま。
※古今(905‐914)雑上・八八八「いにしへのしづのをだまきいやしきもよきもさかりはありし物也〈よみ人しらず〉」
② 枝、葉のない枯木。一説に「ほこすぎ」をおだまきの形に見立てていう語。
※狭衣物語(1069‐77頃か)三「谷深くたつをだまきは我なれや、思ふ心の朽ちてやみぬる」
③ 蒸し菓子の一種。中に餡(あん)を包んだ求肥(ぎゅうひ)の表面に、ソバ粉で数多くの線を付けて、蒸したもの。
※人情本・春色淀の曙(19C中)二「上菓子ならば煉羊羹(ねりやうかん)、〈略〉有平(あるへい)苧環(ヲダマキ)都鳥」
※精進献立集(1819)三九番「だい引 やうかんしたて おだまき わかめ、おだまきだいびきやにあり」
⑤ 紋所の名。わくに糸をうちがえに巻いた図形。
⑥ 貝「いとかけがい(糸掛貝)」の異名。
⑦ キンポウゲ科の多年草。古くから観賞用に栽培され、野生のものは知られていない。全体に粉白緑色を帯び、茎は直立して高さ二〇~四〇センチメートルになり、なめらか。葉は、長い柄のある掌状の三小葉に分かれて、互生する。初夏、枝の先端に碧紫色あるいは白色の花をつけ、下向きに咲く。いとくり。いとくりそう。むらさきおだまき。
▼おだまきの花《季・春》 〔和漢三才図会(1712)〕
※竹の里歌(1904)〈正岡子規〉明治三三年「鳥籠のかたへに置ける鉢に咲く薄紫のをだまきの花」

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