改訂新版 世界大百科事典 の解説
オックスフォード・グループ運動 (オックスフォードグループうんどう)
Oxford Group Movement
のちに道徳再武装運動へと発展していく1920-30年代のキリスト教的宗教運動。別名は〈ブックマニズム〉。アメリカのルター派教会の牧師ブックマンFrank Buchman(1878-1961)が創設者で,彼は宗教的低迷からイギリスのケズウィック・コンベンションに出席し,そこで霊的覚醒を与えられ,アメリカの諸大学,イギリスのケンブリッジやオックスフォードの学生たちに伝道して相当の追随者を集め,彼らも各国に伝道した。その1グループがおもにオックスフォードの学生たちであったことから,一般にオックスフォード・グループ運動と呼ばれるようになったが,オックスフォード大学と関係はない。この運動は当時の若い世代に霊的覚醒を与え,四つの絶対(誠実,清潔,愛,無我)に献身せしめて新しい生き方へと導いたこと,またキリスト教を〈教会〉としてではなく〈グループ運動〉として発展させたことは注目される。1938年にこの運動は〈道徳再武装(MRA)〉として初期の個人的なものから社会的なものへと発展し,ミシガン州のヒューロン湖にあるマッキナク(マッキノー)島に大きな本部をもつに至ったが,最近は衰退し,本部も71年財政的理由から売却された。
執筆者:大木 英夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報