オデッツ(読み)おでっつ(英語表記)Clifford Odets

デジタル大辞泉 「オデッツ」の意味・読み・例文・類語

オデッツ(Clifford Odets)

[1906~1963]米国劇作家現代社会への批判特徴。作「ゴールデンボーイ」「ビッグナイフ」「田舎娘」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オデッツ」の意味・わかりやすい解説

オデッツ
おでっつ
Clifford Odets
(1906―1963)

アメリカ劇作家。ユダヤ系移民の子としてフィラデルフィアに生まれ、ニューヨークの高校を中退して俳優となり、やがて劇作も手がける。1931年、不況下に結成された進歩的演劇集団「グループシアター」に参加。1935年、タクシー労働者のストライキに取材し急ぎ執筆した一幕劇『レフティを待ちつつ』(懸賞当選作)が上演されて名をあげた。同年、ユダヤ人労働者一家を扱った前作『醒(さ)めて歌え』も取り上げられ、以後いくつもの作品が上演されて、同集団の代表的作家となる。1937年の、成功の夢を追い、社会の重圧に押しつぶされる若いボクサーの悲劇ゴールデン・ボーイ』が好評で、映画化(1939)され、第二次世界大戦後のミュージカル版(1964)もヒットした。その間、ハリウッドに移り、映画『将軍暁(あかつき)に死す』(1936)などのシナリオを書き、劇団の経営を助けた。劇壇復帰後の秀作には映画化(邦題喝采(かっさい)』)された『田舎(いなか)娘』(1950)、『花咲く桃』(1954)などがある。

[森 康尚 2015年10月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オデッツ」の意味・わかりやすい解説

オデッツ
Odets, Clifford

[生]1906.7.18. フィラデルフィア
[没]1963.8.15. ハリウッド
アメリカの劇作家。高等学校卒業後俳優となり,かたわら劇作を行なった。グループ・シアター所属中にタクシー運転手のストライキを扱った一幕劇『レフティを待ちながら』 Waiting for Lefty (1935) を発表。左翼批評家から絶賛された。この人気の波に乗り,以前に完成していた『さめて歌え』 Awake and Sing,次いでナチズム抗議の一幕劇『わが命ある限り』 Till the Day I Dieが,1935年グループ・シアターによって上演された。次いでボクシングの選手になって破滅するイタリア移民の子を描いた代表作『ゴールデン・ボーイ』 Golden Boy (37) を発表。第2次世界大戦後は『ビッグ・ナイフ』 Big Knife (49) ,『田舎娘』 The Country Girl (50) などが好評を博した。

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改訂新版 世界大百科事典 「オデッツ」の意味・わかりやすい解説

オデッツ
Clifford Odets
生没年:1906-63

アメリカの劇作家。1930年代の進歩的劇団グループ・シアターに属し,社会意識の濃厚な作品を発表した。タクシー運転手のストライキを扱った《レフティを待ちながら》(1935),小市民の家庭の子の社会的覚醒を描いた《醒めて歌え》(1935),若いボクサーが金のせいで堕落するという《ゴールデン・ボーイ》(1937)などが代表作。以後の作品はメロドラマ的で,30年代の人気は保てなかった。
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百科事典マイペディア 「オデッツ」の意味・わかりやすい解説

オデッツ

米国の劇作家。グループ・シアターを結成し,《レフティを待ちながら》(1935年)で進歩的作風を示す。貧しい移民を描いた《醒めて歌え》《ゴールデン・ボーイ》,映画俳優の堕落を描いた《ビッグ・ナイフ》(1948年)などリアルな作品が多い。

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