日本大百科全書(ニッポニカ) 「オドンネル」の意味・わかりやすい解説
オドンネル
おどんねる
Leopoldo O'Donnell
(1809―1867)
スペインの軍人、政治家。軍人を輩出する貴族の家系に生まれる。カルリスタ戦争でマリア・クリスティナ側で戦い、その信任を得た。1840年に反エスパルテロのクーデターを試みて失敗し、マリア・クリスティナとともに亡命したが、1854年には反穏健派政府のクーデターに加わって成功し、進歩派のエスパルテロ政府の陸相となった。政治的に穏健派と進歩派との中間にあり、1856年クーデターによりエスパルテロを追放、1858年から1863年まで長期にわたって政権を握った。1859~1860年のアフリカ戦争をはじめ、幾たびかの外征を行う一方で、綿工業の発展、鉄道建設ブームによる好景気を利用して、比較的安定した政治を実現した。1865年にふたたび首相となるが、経済危機と進歩派、民主派、民衆などの運動激化に直面して翌年辞任、強硬策をとるナルバエスに政権を譲った。1867年11月5日、フランスのビアリッツで死去。
[中塚次郎]