コンピュータの分類の一つを表し、個人所有のコンピュータをさすが、明確な定義はなく、オフィスで使用するコンピュータをさす場合もある。日本では縮めてパソコンという。欧米では略してPCといい、日本でもPCと略す場合もある。パーソナルコンピュータという語は、1970年代初め、アメリカのIBM社とヒューレット・パッカード社が発売したコンピュータに対して使われたのが最初である。
普及当初は、マイクロプロセッサーや記憶装置のメモリーなどをキーボードの筐体(きょうたい)(平たい箱型)の中に組み込み、これに家庭用テレビを表示装置(ディスプレー)として接続することで1個のコンピュータとして使えるようにしたものが多かった。その後、電子回路技術の発展によってパーソナルコンピュータの性能は飛躍的に向上した。とくに、IBM社が採用したインテル社のマイクロプロセッサーを用いたハードウェアの基本設計と、オペレーティングシステムoperating system(略称OS)としてのマイクロソフト社のDOS(ドス、disk OSの略称)の組合せがデファクト標準(市場での競争を通して決まる事実上の標準)として広く使われるに至った。
この流れとは別に、1984年にマッキントッシュMacintoshという名で個人用の知的文房具として位置づけたPCシステムを開発したのがアメリカのアップル・コンピュータ(現アップル)社であった。当時としては先進的な、マウスで画面上のアイコンをクリックするだけで簡単にソフトウェアが使える仕組みGUI(グイともいう。graphical user interfaceの略称)を基本とするOSをのせていた。いまではマイクロソフト社のOSもウィンドウズWindowsと名を変え、全面的にGUIを取り入れたものとなっている。
パーソナルコンピュータは、OSの発展や低価格化、インターネットの爆発的な発展などと相まって急速に普及した。その形態も、机上で使うデスクトップ型ばかりでなく、携帯可能なラップトップ型、さらに小型のノート型と多岐にわたり、情報技術information technology(略称IT)の発達を背景に急速に展開する情報化社会を支える基盤を構成するに至っている。
[筧 捷彦]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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