アメリカの社会学者。シカゴ大学でR・E・パークとE・W・バージェスに教えを受け、人間生態学や都市社会学の創設に寄与した。シカゴ学派の代表的人物。ミシガン大学などの教授を務めた。人間生態学を、相互作用する人間の、あるいは、相互に関係する人間の制度の空間的集団化の過程に焦点をあてるものとみ、とくに人間生態学の基本的な概念の精密化において優れた業績を残した。集中concentration、向心centralization、凝離segregation、侵入invasion、サクセッションsuccessionなどがその主要な例である。この人間生態学は都市研究に適用され、近隣、メトロポリタン・コミュニティ、国際的な問題などに関する業績をあげた。なかでもメトロポリタンの研究ではパイオニアの役割を果たした。主著は『メトロポリタン・コミュニティ』(1933)など。
[高橋勇悦]
イギリス領アッパー・カナダ(現オンタリオ州)の政治家。1837年の政治の民主化を求める反乱の指導者。25歳でスコットランドから移住し、4年後から『コロニアル・アドボケート』誌を発刊。これを舞台に、当時のアッパー・カナダ政界を牛耳(ぎゅうじ)る「家族盟約」を攻撃、28年に立法議会議員に選出されて政界に入った。その過激な主張で議会からの追放、再選を繰り返したが、人気ある政治家として35年には初代トロント市長となった。このころから議会を通じての政治改革に見切りをつけ、37年の蜂起(ほうき)を計画するが、あえなくつぶされ、自身はアメリカ合衆国に亡命した。49年大赦により帰国し、51年にふたたび立法議会議員に選出されたが、往年の影響力は発揮できなかった。孫に後のカナダ首相W・L・M・キングがいる。
[大原祐子]
カナダ北部、ノースウェスト・テリトリーズ中西部の行政地区。1895年創設、1918年に境界を設定した。北は北極海に面し、東はキーウェーティン地区、西はユーコン・テリトリーと接し、南は北緯60度線が平原三州などとの境界となる。面積約137万平方キロメートル。住民はイヌイット、インディアンが大半を占め、狩猟を営む。最大の町は、金で有名なイエローナイフである。マッケンジー川が流れる西部の中央低地帯は針葉樹林帯で木材資源に富み、グレート・ベア湖やグレート・スレーブ湖以東はローレンシア楯状地(たてじょうち)で、氷河地形が発達している。近年マッケンジー川デルタ地域における油田の開発が活発で、カナダ政府が計画的に建設した町イニュビクがある。
[山下脩二]
イギリスの探検家。スコットランドに生まれ、ニューヨークを経てケベック植民地に移住。1787年北西会社に入社し、翌年アサバスカ湖畔のチプウィン砦(とりで)に駐在。そこから89年北極海周辺を探検し、マッケンジー川に名を残した。93年には白人として初めて北アメリカ大陸を陸路横断し、太平洋岸に到達。99年、北西会社を辞してイギリスへ赴き、『航海』(1801)を出版した。1802年ふたたびカナダへ戻り、ロワー・カナダ(現ケベック州)立法議会議員となったが、08年スコットランドへ移住し、そこで没した。初期カナダの探検は、彼のような北西会社の社員により精力的に行われた。
[大原祐子]
イギリスの小説家。スコットランドに生まれる。祖父、父とも俳優だった。オックスフォード大学卒業。劇作から小説に転じ、『カーニバル』(1912)、『不吉な街』二部(1913~1914)で名声を得た。ことに後者は、当時の学生生活と青年の心理を写実的に描いたものとして世評が高かった。ほかに『恋の風』6巻(1937~1945)、『薄氷』(1956)などがあり、自叙伝『わが人生』10巻(1963~1971)も著名。また、音楽雑誌『The Gramophone』を創刊した人物としても知られる。
[山中信夫]
イギリス領北アメリカ,アッパー・カナダ植民地の政治家。スコットランドに生まれ,15歳で移住。商店経営などののち,1824年より《コロニアル・アドボケート》紙を発刊。当時のアッパー・カナダ政界を牛耳る〈家族盟約〉攻撃をはじめとして政治の民主化を訴え,急進的な改革指導者として知られるようになった。28年立法議会に当選。アメリカ型共和制の採用を主張して議会からの追放・当選を繰り返すが民衆の人気は絶大で,35年にはトロント初代市長に選ばれた。しかし同年〈苦情を申し立てる7回目の報告〉が議会で却下され,翌年の選挙でマッケンジーと改革派が敗北を喫すると,彼は平和的な手段では政治の民主化は達成できないとみて,37年12月トロント郊外で蜂起を計画した。しかし蜂起はあっけなく鎮圧され,彼自身はアメリカ合衆国へ逃亡した。49年大赦によりカナダへ戻ったが,往年の影響力は駆使できなかった。後のカナダ首相のW.L.M.キングは孫に当たる。
執筆者:大原 祐子
スコットランドの探検家。現在のカナダを探検,測量したことで有名。ルイス島に生まれ,10歳のとき両親とともにニューヨークに移住。伯父の手引きで毛皮取引に携わるようになり,1787年北西会社社員となってアサバスカ湖近辺に駐在するが,89年,ここから北極海まで,後に彼の名が冠せられるマッケンジー川を下降した。93年,マッケンジー川の西方への支流を遡行しロッキー山脈を越えて太平洋へ到達,陸路北アメリカ大陸を横断した最初のヨーロッパ人となった。99年,経営方針への不満から北西会社を離れイギリスへ赴くが,まもなく北アメリカへ戻り,自身の毛皮交易会社を設立。1801年に探検記を発表した。05年にはロワー・カナダ立法議会に選出されたが,08年スコットランドへ戻り,12年に結婚。急死を遂げるまでスコットランドに住んだ。
執筆者:大原 祐子
イギリスの小説家,軍人,実業家。70冊以上の小説がある。初め劇作で出発し,ロンドンの踊子を描いた小説《謝肉祭》(1912)で一応の成功を収めたが,上流階級の私生児マイクルの幼年時代,オックスフォード生活,ロンドンでの遊蕩を生き生きと描写した2巻本《不気味な通り》(1913,14)と,彼の恋愛,結婚などを扱った続編《ガイとポーリン》(1915),《シルビア・スカーレット》(1918),《シルビアとマイクル》(1919)で非常な人気を博した。老年になっても創作力は衰えを見せず,とくに20世紀初頭の40年間における一人の男の成長を描いた4巻本《愛の四風》(1937-45)はマイクルものにまさるとも劣らない。ほか,《張り合う怪物》(1952),《薄氷》(1956)などの秀作がある。レコード雑誌《グラモフォン》の編集者としても知られる。
執筆者:鈴木 建三
カナダの新聞記者,著述家。ケベック生れ。1904年ロンドンの《デーリー・メール》紙の特派員として朝鮮を訪れ,日露戦争の経過,日本の朝鮮支配にふれた《東京からチフリスまで》(1905)を刊行。06年再び朝鮮,中国,日本を訪れ,《ベールを脱いだ東洋》(1907)を著した。07年三たび朝鮮を訪れ義兵闘争の取材旅行を行い,日本の対朝鮮軍事支配を告発した《朝鮮の悲劇》(1908)を刊行した。三・一独立運動が起きると翌20年《朝鮮の自由のための闘い》を刊行して,日本の武断統治の実態と独立運動の姿とを伝えた。晩年はソ連・東欧方面の特派員として活躍し,31年カナダで没した。
執筆者:糟谷 憲一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
「リンデン」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…精糖会社ブーカー社による寡占が進み,さらに工業,海運,保険などをも掌握するにいたった。この伝統的な砂糖産業に加えて,デメララ川沿いのマッケンジーでボーキサイトが採掘され,世界有数の産出量を誇り,アメリカ合衆国やヨーロッパ諸国に輸出されている。
[歴史]
1834年の奴隷廃止後の労働力の担い手として1917年までに約25万人のインド人移民が同国に導入され,減退しかかった砂糖生産を回復させた。…
…州都イェローナイフ。カナダ全土の3分の1余りを占め,三つの行政区,マッケンジーMackenzie,キーウェーティンKeewatin,フランクリンFranklinに分かれる。面積337万9683km2,人口6万5800(1995)。…
…19世紀前半のアッパー・カナダは運河建設など交通網の改良に伴う経済成長の結果,政治的にも成熟をみせた。英国国教会と結託して政界を牛耳る〈家族盟約〉に抵抗して,政治の民主化運動を推進したW.L.マッケンジーは37年に蜂起を計画したが,彼の過激主義は保守的な風土に受け入れられず失敗した。しかしこの反乱の結果を視察したダラム卿は民主化を勧告し,41年アッパー,ロワー両カナダの統合が連合カナダ植民地として実現し,48年ここに責任政府が樹立されて大幅な自治を獲得した。…
…減速経済の下,世界各国はむしろ雇用の拡大のために厳しい外国企業の争奪戦の段階に入っていたのである。
[北米市場統合への動き]
加米経済関係の緊密化は,両大戦間期のアメリカ企業の対カナダ直接投資により深まりつつあったが,マッケンジー・キング自由党政権下で1935年に締結された加米互恵条約によっていっそう強化された。第2次世界大戦以後,59年の防衛生産分担協定を通してさらに強化された。…
※「マッケンジー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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