カイ・フン(読み)かいふん(英語表記)Khai Hung

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カイ・フン」の意味・わかりやすい解説

カイ・フン
Khai Hung

[生]1896
[没]1947?
ベトナムの作家。「自力文団」グループの創設者の一人で,思想および芸術論の面で新文学に対し大きな功績があった。盟友ニャット・リンとともに,封建意識に依存する旧大家族制度は個人の幸福および社会の進歩の大きな障害であるとしてその打破に努めた。同時に,村の弊俗,因襲,家庭内の序列賄賂,長期借金 (青田売り) などを批判攻撃し,それらの改善のための犠牲的精神を強調し,それを人生の最高最美の生存理由とした。作品には『蝶魂仙夢』 Hôn Buom Mo Tiên (1933) ,『春なかば』 Nua Chung Xuân (34) ,『家庭』 Gia Dinh (38) ,短編小説集『蝉』 Cai Ve (36) などがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カイ・フン」の意味・わかりやすい解説

カイ・フン
かいふん
Khai Hung
(1896―1947)

ベトナムの小説家。一霊(ニャット・リン)らと自力文団を創設し、『フォン・ホア』(風化)誌、続いて『ガイ・ナイ』(今日)誌を発行し、当時のベトナム社会の因襲を痛烈に批判する小説を数多く発表した。代表作は、『フォン・ホア』誌創刊号に掲載の『蝶魂(ちょうこん)仙夢』のほか春半(なか)ば』、一霊との合作短編集『あなた生きて!』などである。

[竹内与之助]

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