カウリー(その他表記)Abraham Cowley

精選版 日本国語大辞典 「カウリー」の意味・読み・例文・類語

カウリー

  1. ( Abraham Cowley エイブラハム━ ) イギリス形而上学派の最後の詩人。恋愛詩集「恋人」、叙事詩ダビデの歌」など。(一六一八‐六七

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改訂新版 世界大百科事典 「カウリー」の意味・わかりやすい解説

カウリー
Abraham Cowley
生没年:1618-67

イギリスの詩人,劇作家,随筆家。Cooleyなる自署が発見されているので,クーリーと呼ぶべきだとの説もある。王党派・英国国教会派寄りの保守的な思想を奉じ,ピューリタン革命で母校ケンブリッジ大学を追われてフランスに亡命。その後も王党派として活動したが,王政復古(1660)となっても自分で期待したほどの処遇は受けなかった。失意のうちに田園に隠棲して文筆に専念。《詩集》(1656),《近作詩集》(1663),《詩文集》(1668)などを世に問うたが,その詩の特色は機知に頼る表現に見られる。ときにそれが極端に走ったため,後年ジョンソン博士によって悪しき形而上派的奇想metaphysical conceitsの実例として槍玉にあげられたこともある。しかしその時代の一つの詩風のわかりやすい実践であったから,それなりの影響も及ぼし,文学史的重要性も認められる。
形而上詩
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カウリー」の意味・わかりやすい解説

カウリー(Malcolm Cowley)
かうりー
Malcolm Cowley
(1897―1989)

アメリカの詩人、批評家ペンシルベニア州に生まれ、ハーバード大学卒業後、グリニジビレッジでのボヘミアン生活を経て、パリへ赴き、国籍離脱者の一人として同世代の作家たちと交遊をもった。詩集『青きジュニアータ』(1929)、「失われた世代(ロスト・ジェネレーション)」の遍歴を描いたエッセイ亡命者帰る』(1934)はこの時期の所産であり、以後『文学状況』(1954)、『30年代への回顧』(1967)、『窓多き家』(1970)などの評論集、詩集『渇いた季節』、さらにはホーソンヘミングウェイフォークナーの選集編纂(へんさん)など多方面の活躍を続け、とくに1946年編の『ポータブル・フォークナー』はこの大作家の再評価のきっかけをつくった。

[原川恭一]


カウリー(Abraham Cowley)
かうりー
Abraham Cowley
(1618―1667)

イギリスの詩人。E・スペンサー、B・ジョンソン、J・ダンらの影響を受けた。強烈な個性をもった詩人というよりは、近代科学精神とキリスト教ヒューマニズムが、また形而上(けいじじょう)詩の機知と新古典主義の良識的感覚が融合した、形而上派詩人(メタフィジカル・ポエット)としてはイメージの織り出し方が比較的穏やかな詩人である。15歳で『詞華集』(1633)を出版、内乱時は王党を支持してフランスに追われ、そのため王党派詩人として分類されることもある。王政復古とともに帰国し、詩のほかに当時流行の庭園論や自然と人間と孤独をめぐる優れたエッセイも残した。代表作は恋愛詩集『恋人』(1647)。

[河村錠一郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カウリー」の意味・わかりやすい解説

カウリー
Cowley, Abraham

[生]1618. ロンドン
[没]1667.7.28. サリー,チーシー
イギリスの詩人。 15歳でスペンサーにならった『詩花集』 Poeticall Blossomes (1633) を書く早熟さを示し,ケンブリッジ大学在学中に牧歌劇『恋のなぞ』 Love's Riddle (38) ,清教徒攻撃の喜劇『保護者』 The Guardian (41) を出した。 1643年内乱のためケンブリッジを追われ,45年パリへ逃亡,王妃ヘンリエッタ・マリアの秘書官となり,困難な外交任務についた。 56年王党派のスパイとして帰国,投獄された。保釈後オックスフォード大学で医学を学んだ。王政復古後は志を得ず,チーシーに隠棲した。最後の形而上詩人といわれ,恋愛詩集『恋人』 The Mistress (47) ,未完の叙事詩『ダビデ讃』 Davideis (56) ,『ピンダロス風オード』 Pindarique Odes (56) などがある。散文の名手としても知られ,『散文および韻文によるエッセー』 Essays in Verse and Prose (68) がある。

カウリー
Cowley, Malcolm

[生]1898.8.24. ペンシルバニア,ベルサノ
[没]1989.3.27. コネティカット
アメリカの批評家,詩人。第1次世界大戦に衛生隊員としてフランスにおもむき,1920年にハーバード大学卒業。その後再びパリに渡り,23年帰国。 29~44年『ニュー・リパブリック』誌の編集にたずさわる。みずからもその一人である「失われた世代」についてのすぐれた証言『亡命者帰る』 Exile's Return: A Narrative of Ideas (1934,51改訂) ,評論集『文学的状況』 The Literary Situation (54) ,『窓多き家』A Many-Windowed House (70) などのほか,フォークナー再評価の契機となった『ポータブル・フォークナー』 The Portable Faulkner (46) をはじめとする多くの編著,詩集『青いジュニアタ』 Blue Juniata (29) ,『乾期』 The Dry Season (42) がある。

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百科事典マイペディア 「カウリー」の意味・わかりやすい解説

カウリー

米国の詩人,批評家。第1次大戦に従軍,のち〈ロスト・ジェネレーション〉の1人としてパリでダダイストたちと交遊。一時,左翼思想に近づく。半自伝的な評論《亡命者帰る》(1934年,改訂1951年)のほか,フォークナー再評価に貢献した《ポータブル・フォークナー》(1946年)で名高い。

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