嫦娥(読み)ジョウガ

世界大百科事典 第2版の解説

じょうが【嫦娥 Cháng é】

中国神話にみえる月神。常娥,常羲(じようぎ)などとも書く。《山海経(せんがいきよう)》大荒西経に,帝俊の妻常羲が月十二を生み,大荒の日月山で浴することがみえる。帝俊は文献にいうで,もと太陽神。《淮南子(えなんじ)》覧冥訓に,羿(げい)が不死の薬を西王母に求めたところ,嫦娥がこれを窃(ぬす)んで月に奔(はし)ったことがみえ,そこでは嫦娥は羿の妻と解されている。月に奔った嫦娥は月中の蟾蜍(せんじよ)(がま)となり,月の精となった。

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大辞林 第三版の解説

じょうが【嫦娥】

○ 〔淮南子 覧冥訓・後漢書 天女志〕 中国、古代伝説上の人物。夫の羿げいが西王母からもらいうけた不死の薬を盗み、月に逃げ込み蟇がまに変わったと伝えられる女。姮娥こうが
月の異名。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

嫦娥
じょうが

中国古代の伝説に登場する女性。(こうが)ともいい、弓の名人(げい)の妻。嫦娥は、夫のが崑崙(こんろん)山に住む女仙の西王母(せいおうぼ)からもらい受けた不死の薬を盗み出し、それを服用したのち、月世界へ昇ってガマガエルに化したと伝えられる。嫦娥を仲立ちとして不死の薬と月が結び付いたのは、人々が永遠に変わることなく満ち欠けを繰り返す月に不死性を感じ取ったためと思われる。またガマガエルに変身したというのも、月影をカエルに見立てた古代の中国人の観念によるものであろう。しかしのちになると、醜いカエルに化したという伝承は消失し、嫦娥はただ1人で月中に孤独をかこつ憂愁の美女と考えられるようになった。そうした嫦娥の姿を唐代の詩人たちは、しばしば詩に月を読み込むときの素材としている。[桐本東太]

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精選版 日本国語大辞典の解説

じょう‐が ジャウ‥【嫦娥】

〘名〙 月の世界に住むといわれる仙女。転じて、月の異称。姮娥(こうが)
経国集(827)一〇・奉和関山月〈滋野貞主〉「嫦娥如有意、応照妾汎瀾
草枕(1906)〈夏目漱石〉七「桂の都を逃れた月界の嫦娥が」 〔李商隠‐常娥詩〕
[補注]もと「姮娥(こうが)」といわれており、「淮南子‐覧冥訓」やその高誘注によると、羿(げい)の妻であったが、羿が西王母から得た不死の薬を盗んで飲み、月に逃げたという。漢の文帝の諱「桓」を避けて「姮」を「嫦(こう)」と書いたが、後にこの字が「ジョウ」と読まれるようになった。

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