イタリア南部、シチリア自治州カターニア県の県都。人口30万6464(2001国勢調査速報値)。シチリア島東岸、エトナ火山の南麓(なんろく)、肥沃(ひよく)なカターニア平野の縁に位置する。人口は州都パレルモより少ないが、経済的重要度では島内随一の座を占める。エトナの斜面は柑橘(かんきつ)類、ブドウ、オリーブを産する一方、土地改良が施された平野部は穀物、家畜などを産し、市はそうした豊富で多様な農畜産物の集散地となっている。工業面では、食品、製薬、化学(肥料)、機械、エレクトロニクス、繊維部門での活動がみられるし、また観光業が躍進している。ただ、かつて盛んに行われていた硫黄(いおう)の製錬・輸出は、現在では衰退している。
[堺 憲一]
市の起源は、紀元前8世紀前半のカルキス人による植民地建設までさかのぼる。古名はカタナCatana。カターニアの歴史を特徴づけるのは、大規模な地震(たとえば1169年、1693年)と、エトナの噴火(前121年、1669年)によってしばしば大きな被害を受けたことである。とりわけ17世紀後半の二つの災害のため、住民の3分の2と大部分の建物が失われたといわれる。ところが、その後の復興も目覚ましく、面目を新たに商業都市として再建された。ローマ時代の劇場、浴場、水道などの遺跡、中世の大聖堂(11世紀)やウルシノ城(13世紀)があるが、「歴史地区」の建築物は、17世紀の災害という事情を反映して、バロック風のものが多い。
[堺 憲一]
イタリア,シチリア州の同名県の県都。人口30万4144(2005)。シチリア島東岸にあり,同島ではパレルモに次ぐ第2の都市であるが,経済的重要性ではパレルモをしのぐ。ギリシアの植民市から発展したが,現在の市街は1669年のエトナ山の噴火,93年の地震による壊滅のあと,18世紀に再建されたもので,規則正しい町並みと,大聖堂をはじめとする多くの教会建築は,この時期に支配的だったバロック様式をとどめている。シチリアで最も豊かな農業地域であるカターニア平野を背後にひかえ,かんきつ類,野菜,ブドウなどの農産物や畜産物の集散地である。工業では,食品加工,化学(肥料),機械,繊維と多岐にわたるが,中小企業が多い。市内には1434年創立のカターニア大学をはじめ,文化遺産が多く,観光業の発展も著しい。作曲家ベリーニ,作家ベルガの生地としても知られる。
執筆者:萩原 愛一
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…3世紀のシチリア島カターニア出身の聖女。伝説によれば,その名はギリシア語の〈神の聖女〉〈天のしもべ〉などに由来する。…
…ベルガは初め統一直後の本土に渡って,フィレンツェやミラノの文学サロンに出入りし,前衛的な〈スカピリアトゥーラ派〉の文学運動に加わり,フランスの自然主義文学にも接した。しかしベルガが真に描くべき対象を発見したのは,故郷カターニアを中心とする荒涼たるシチリアの風土においてであり,そこにほとんどはだしで生きる貧しい民衆たちの姿であった。ベルガは野獣にも等しく原始本能のままに生きるシチリア人たちを描いた。…
※「カターニア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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