精選版 日本国語大辞典 「かちかち山」の意味・読み・例文・類語
かちかち‐やま【かちかち山】
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昔話。動物どうしの葛藤(かっとう)を主題にする動物昔話の一つ。爺(じじ)が畑を荒らすタヌキを捕まえ、たぬき汁にしようと、縄をかけて家に置く。婆(ばば)が米を搗(つ)き始めると、手伝うから縄を解いてくれという。だまされた婆はタヌキに殺される。タヌキは婆に化け、爺が帰ってくると、タヌキ汁だといって婆汁を食わせる。爺に同情したウサギが、タヌキを薪(たきぎ)取りに誘い、タヌキの背負った薪に火をつけ、やけどを負わせる。ウサギはやけどに効く薬といって、タヌキのやけどに、唐辛子を入れた膏薬(こうやく)をつけて苦しめる。ウサギは木の船、タヌキは土船に乗って船遊びをする。土船は沈み、タヌキは死ぬ。赤本以来、文献にもいろいろみえる有名な昔話で、江戸時代の五大昔話の一つに数えられる。赤小本の『兎(うさぎ)の手柄』(1673~80ころ)が最古の記録といわれる。「かちかち山」の名は、ウサギが火をつけたとき、火打石の音を聞いたタヌキが何の音かと尋ねたのを、かちかち山のかちかち鳥の鳴く声だと答えたのに由来する。明治以後も絵本などの読み物になって広く知られている。昔話には、「兎と熊」のように、赤本の系統とはやや異なった形式の類話もある。ウサギとクマが小屋をつくるために、カヤ刈りに行く。ウサギはクマにカヤを背負わせ、自分も乗る。途中、ウサギがカヤに火をつける。やけどの薬、土船のことがあって、クマは死ぬ。ウサギは人家へ行き、子供だけのところで、クマを煮て食う。親が帰ってきて、ウサギを捕まえる。子供に押さえさせ、刃物をとりに行っているすきに、子供をだまして逃げる。これとほぼ共通する昔話は、ウサギとトラの葛藤譚(たん)として朝鮮やビルマ(ミャンマー)にも数例分布しており、「兎と熊」は「かちかち山」の原型的な昔話であろう。「かちかち山」の前段は、「兎と熊」の後段からの転化と考えられる。もともと、ずる賢い動物を主人公にした連鎖譚の一例で、部分的に一致する昔話は東南アジアにもある。北アメリカのインディアンにも似た話がある。ペテン師がクマの女たちをだまし、留守番中にクマの女の子供たちを料理し、女たちに食わせる話で、策略でクマの女たちを穴に入れて焼き殺す場面には、女が火打石の音がするというと、火打ち鳥が飛んでいる音だと答えるなどの趣向もある。
[小島瓔]
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…朋誠堂喜三二(ほうせいどうきさんじ)作,恋川春町画,1777年(安永6)刊。〈かちかち山〉の後日譚で,子狸に親の敵とねらわれた兎が義理に迫られて切腹し,狸はまた猟人を導いて討たせた狐の子狐に,猟人とともに討たれる。当時流行の料亭葛西(かさい)太郎などをとり入れ,梅が枝の手水鉢の芝居(《ひらかな盛衰記》)の趣向なども加えて,草双紙伝統の民話を黄表紙の滑稽味も豊かに当世化した作品。…
※「かちかち山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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