ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カドモス」の意味・わかりやすい解説
カドモス
Kadmos
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ギリシア神話で、テバイ(テーベ)の都の創建者、また初代の王。フェニキアのティロス(またはシドン)の王アゲノルとテレファッサの息子。姉妹のエウロペがゼウスにかどわかされたとき、父の命令で母親を連れてその捜索の旅に出、トラキアに至るが、のちにデルフォイの神託に従って1頭の牝牛(めうし)の後を追い、テバイの地へやってきた。カドモスはここでアテネ女神に犠牲を捧(ささ)げるため従者にアレスの泉の水をくみにやらせるが、泉を守る竜が従者を殺したためにこれと闘って倒し、その歯を大地に播(ま)いた。するとその歯から武装した戦士が生え出たので、その中に石を投げ込んで同士討ちをさせ、最後に残った5人に協力させてテバイの都を建設した。テバイ王となった彼はアレスの娘ハルモニアと結婚し、アウトノエ、イノ、アガウエ、セメレらの娘と息子ポリドロスを得た。のちに王位を孫のペンテウスに譲ってイリリアへ隠退し、最後には妻とともに大蛇と化して極楽浄土(エリシオン)へ送られた。彼は文字をギリシアに持ち込み、文明開化の礎(いしずえ)を築いた人物とされる。
[丹下和彦]
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