カバネル(読み)かばねる(その他表記)Alexandre Cabanel

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カバネル」の意味・わかりやすい解説

カバネル
かばねる
Alexandre Cabanel
(1823―1889)

フランス画家モンペリエに生まれ、パリ美術学校のピコFrançois Edouard Picot(1786―1868)の画室で学ぶ。1845年ローマ賞受賞。肖像画も描くが、「ビーナス」などの神話画裸婦名声を得て、ナポレオン3世をはじめ諸国から注文を数多く受け、第二帝政期の官展派の指導的画家となる。1863年アカデミー会員。その後、美術学校教授、官展の審査員としてアカデミスムを統率する。細部の明確な仕上げ、古典主義的な輪郭線の強調などを特色とし、当時の前衛、つまり印象主義に対立した。パリの数多くの邸館などにも装飾壁画を残し、パンテオンには『聖ルイ伝』を描いている。

中山公男


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「カバネル」の意味・わかりやすい解説

カバネル
Alexandre Cabanel
生没年:1823-89

フランスの画家。モンペリエに生まれる。エコール・デ・ボザール(国立美術学校)で学び1845年のローマ賞を獲得して50年までイタリア留学。帰国後人気は高まる一方で,63年には学士院Institut入りするとともにエコール・デ・ボザールの教授に選ばれた。代表的なアカデミズムの画家で,新古典派を甘美に通俗化した様式をもち,そのためにサロン(官展)の審査員としてレアリスムや印象派などの新しい美術の流れと厳しく敵対した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カバネル」の意味・わかりやすい解説

カバネル
Cabanel, Alexandre

[生]1823.9.28. モンペリエ
[没]1889.1.23. パリ
フランスの画家。 1840年美術学校に入り F.ピコに師事。 45年ローマのフランス・アカデミーに留学し帰国後母校の教授となる。 J.ダビッドの古典主義を踏襲し,綿密な構図と流麗な色調をもとに歴史画,寓意画,肖像画,神話画を多く制作。特に『ビーナスの誕生』 (1863,オルセー美術館) は有名。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android