改訂新版 世界大百科事典 「カワモズク」の意味・わかりやすい解説
カワモズク
Batrachospermum
世界各地の湧泉からの小川や灌漑用水路などの流水中にみられるカエルの卵塊のようなカワモズク科の淡水産の紅藻。体は節をもつ中軸と,節から出る輪生枝とからなり,それらの周囲には多量の寒天物質が分泌されるので,体は寒天質の数珠(じゆず)の形状となる。カワモズク属には種類数が多く,種の同定は容易でない。分類には,輪生枝の発達の程度,囊果(のうか)の位置,受精毛の形,雌雄異株か同株かなどが主な形質となる。代表的な種に,カワモズクB.moniliforme Roth,アオカワモズクB.virgatum SirodotおよびヒメカワモズクB.gallaei Sirodotなどがある。三杯酢などであえて食用にすることがある。
執筆者:千原 光雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報