カーテンウォール(英語表記)curtain wall

翻訳|curtain wall

デジタル大辞泉 「カーテンウォール」の意味・読み・例文・類語

カーテン‐ウォール(curtain wall)

建築物で、構造上の荷重を支えない壁。総ガラスの壁やパネルの外壁など。帳壁。
西洋の中世城郭で、敵の侵入を防ぐため、特に高く築いた城壁。

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精選版 日本国語大辞典 「カーテンウォール」の意味・読み・例文・類語

カーテン‐ウォール

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] curtain wall )
  2. 本来は、建築物の構造耐力に関係ない壁体。空間の区切りや、風雨、騒音などを外部から遮断するためだけのもの。帳壁。現在では、特に高層建築外周壁として用いる、パネル化、ユニット化されたものをさすことが多い。
  3. ダム水門などで、水を止めるための壁。幕壁、擁壁遮水壁、止水壁など。

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改訂新版 世界大百科事典 「カーテンウォール」の意味・わかりやすい解説

カーテンウォール
curtain wall

建物の外壁を組積造のような構造体でなく,空間を仕切る建具として用いるとき,この壁をカーテンウォールという。建物の受ける力を負担しないので非耐力壁あるいは帳壁(ちようへき)とも呼ばれ,これに対して構造体としての外壁は耐力壁(ベアリングウォールbearing wall)という。鉄骨造鉄筋コンクリート造,高層建築の発達に伴って,構造体としての外壁に代わって柱,梁(はり)に建物の荷重を負担させるようになり,大きな窓(開口部)を設けることを可能にした。その開放的な構成が軽快な表現をもち,総ガラス張り建築も生まれている。日本の木造建築は最初から大きな開口部をもっている点でカーテンウォールによる構成と似ており,近代建築としての表現にも影響を与えた。カーテンウォールを用いた場合の技術的な特徴としては,次のような点があげられる。(1)耐力壁と異なり,上部の荷重を支えなくてすむので,壁厚が薄く軽量化され,柱,梁の断面が細くなり,室内の空間を広くできる。また建物重量を減じた分だけ建物に加わる地震力も少なくなり,耐震的,経済的な計画ができる。(2)カーテンウォールは,構造体の建設中に,並行して工場で組立てが進められる部品なので,工期が短縮され,また現場生産でないために品質管理が行き届き,風雨に耐えるよう実験でき,性能を確かめられる。(3)構造体に後から取り付けられるため,取替えや改装が容易となるほか,工事中,外足場を組まずに取付工事ができるため,安全な仮設工事を可能にする。

 カーテンウォールの材料は,ガラス,木,鉄,ステンレス鋼,青銅,アルミニウム,コンクリート系,プラスチック系のものなど多岐にわたって組み合わされ,パネル化,ユニット化も進んでいる。カーテンウォールに求められる性能は,耐風圧,断熱,結露防止,耐火,遮音,耐久など一般的なもののほか,とくに高層部分での強い風雨に対する入念な雨仕舞(あまじまい)と,建物の揺れ(層間変位)に対して破損脱落しない安全な取付けが重要である。ガラス面は,安全と風当りが強いためと雨仕舞をよくするために,開閉しない固定はめこみ(嵌殺し(はめころし))にすることが多い。またガラス部分の多い場合は,ガラス面での熱の出入りが著しいので冷暖房費がかさまないよう断熱効果を増すガラスを使用するほか,ガラス面の不安感やガラスが割れた場合の飛散に対する配慮が求められている。熱線反射ガラス(鏡面ガラス)を全面に取り付けた場合には,昼間,周囲の風景を映し出すため,その建物の存在を薄めるかのような効果もみられる。現在ではほとんどの高層建築の外観は,ガラスでない面も含めてカーテンウォールの構法によって実現されており,中低層の一般的な建築にも応用されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カーテンウォール」の意味・わかりやすい解説

カーテンウォール
かーてんうぉーる
curtain wall

建築物の架構構造とは独立に構成され、建築物の外部空間と室内空間とを仕切る非耐力壁、およびその工法の総称。帳壁ともいう。カーテンの呼称どおりに中・高層建築物の外側を覆う形式によって代表される壁面である。材質には金属板、ガラス、ブロック、プレキャストコンクリートなど種々あるが、温度変化や建物の揺れなどによる変形に追随できるような配慮や、耐火・耐風性能をもたせるなどのくふうがなされている。

 西欧で古代から行われてきた石やれんがを用いる組積造にかわって、第二次世界大戦後、木造建築にみるような柱や梁(はり)の枠で荷重を支える架構式構法を採用したことにより近代建築は大きく変化した。壁は組積造の荷重支持機能から解放され、建築物の主体構造とは無関係に構成できるようになり、鉄やガラスなど工業製品の量産化、鉄筋コンクリートや鉄骨構造技術の建築表現への導入などと相まって、カーテンウォールは中・高層建築物の代表的様式の一つとなった。フランスの建築家ル・コルビュジエの提唱したドミノ・システムに示された建築的表現は、組積造から架構式構法へのシステム転換への道を示すものとして、カーテンウォールへの発展の基礎となるべきものといわれている。

[加藤正己]

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百科事典マイペディア 「カーテンウォール」の意味・わかりやすい解説

カーテンウォール

帳壁(ちょうへき)あるいは非耐力壁とも。建物の外壁に張ったり,部屋を仕切ったりするで,これによって建造物の力学的支持力を要求されることのないもの。特に超高層建築など,建物の形態を保持する主体構造の確立されている建造物に使用される。気密性,遮音(しゃおん)性,断熱性,耐震性などのほか,施工が簡単で軽いことなどが望まれる。ガラス,木,鉄,軽金属板,プラスチック系,コンクリート系などがあり,さまざまに組み合わされて使用される。
→関連項目プレハブ建築

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カーテンウォール」の意味・わかりやすい解説

カーテンウォール
curtain wall

非耐力壁の総称。帳壁ともいう。スケルトン構造における壁の処理方法の一つで,荷重支持は骨組みにゆだね,ブロック,金属,ガラスなどの壁体をカーテンのように骨組みに取付ける方式。パネルウォールともいう。石あるいは煉瓦で造られた建築はすべて壁体が荷重を支持していたが,この方法によって壁体は荷重支持から解放され,建物の外壁全面がガラス張りでできた建築が可能となった。建設工事のプレハブ化が進むにつれて,建物の外壁に工場生産のカーテンウォールを使用する傾向が増大し,特に超高層建築の外壁はほとんどがカーテンウォールで施工されている。

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「カーテンウォール」の解説

カーテンウォール【curtain wall】

建物の重さを支える構造材としての役割を持たない壁。おもにガラスやアルミニウム製のパネルで、建物の外壁をおおうほか、部屋の間仕切りなどに用いる。建物が軽くなり、窓が大きくとれ、工事が容易なことなどから、高層ビルなどで採用されることが多い。◇「帳壁(ちょうへき)」ともいう。

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世界大百科事典(旧版)内のカーテンウォールの言及

【壁】より

…これに対して,建物を支えるような機能をとくにもっていない壁は非耐力壁あるいは帳壁と呼ばれる。非耐力壁をカーテンウォールと総称することもあるが,狭義には非耐力壁のうち,構造体に直接取りつけられる,工業製品化された壁をとくにカーテンウォールと呼んでいる。石や煉瓦を用いた組積(そせき)式構造においては,壁は元来が耐力壁であるのに対し,日本で行われてきたような木材による軸組構造では,壁は非耐力壁が原則である。…

【超高層建築】より

…このような背景のもとで,第2次世界大戦後の48年,アメリカ北部のポートランドに,アルミ材と密閉式ガラス窓による外装のエクイタ・ビルが完成した。アルミやステンレスといった材料は,クライスラー・ビルやエンパイア・ステート・ビルに,主として外装用装飾材として採用されていたが,本格的カーテンウォール素材として採用されたのは,この建物が初めてであった。そしてこれ以降,インターナショナルスタイルと呼ばれる超高層建築の一つの表現方法として,カーテンウォールはその主要な位置を占めるようになっていくのである。…

※「カーテンウォール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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