日本大百科全書(ニッポニカ) 「カーテンウォール」の意味・わかりやすい解説
カーテンウォール
かーてんうぉーる
curtain wall
建築物の架構構造とは独立に構成され、建築物の外部空間と室内空間とを仕切る非耐力壁、およびその工法の総称。帳壁ともいう。カーテンの呼称どおりに中・高層建築物の外側を覆う形式によって代表される壁面である。材質には金属板、ガラス、ブロック、プレキャストコンクリートなど種々あるが、温度変化や建物の揺れなどによる変形に追随できるような配慮や、耐火・耐風性能をもたせるなどのくふうがなされている。
西欧で古代から行われてきた石やれんがを用いる組積造にかわって、第二次世界大戦後、木造建築にみるような柱や梁(はり)の枠で荷重を支える架構式構法を採用したことにより近代建築は大きく変化した。壁は組積造の荷重支持機能から解放され、建築物の主体構造とは無関係に構成できるようになり、鉄やガラスなど工業製品の量産化、鉄筋コンクリートや鉄骨構造技術の建築表現への導入などと相まって、カーテンウォールは中・高層建築物の代表的様式の一つとなった。フランスの建築家ル・コルビュジエの提唱したドミノ・システムに示された建築的表現は、組積造から架構式構法へのシステム転換への道を示すものとして、カーテンウォールへの発展の基礎となるべきものといわれている。
[加藤正己]