ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガリェゴス」の意味・わかりやすい解説
ガリェゴス
Gallegos, Rómulo
[没]1969.4.4. カラカス
ベネズエラの小説家,教育者,政治家。青年時代はウルグアイの思想家 J.ロドーの影響を受け,教育界にあって民主主義の実現を説いた。理想が独裁者の圧制に粉砕されるのをみて政治活動に入り,数回の亡命 (1931~36年スペインに滞在) を経て,1947年には自国の大統領になったが,翌年のクーデターで野に下った。早くから短編小説を書いており,最初の小説『レイナルド・ソラル』 Reinaldo Solar (20) 以後本格的に活動を始めた。この作品は,10年代の現実を前にして挫折感にひたる知識人の姿を描いたもので,以後の『蔦』 La trepadora (25) ,『ドニャ・バルバラ』 Doña Bárbara (29) ,『カンタクラロ』 Cantaclaro (34) ,『カナイマ』 Canaima (35) ,『哀れな黒人』 Pobre negro (37) などの作品にも,作者の理想主義的,楽観主義的姿勢がうかがわれる。文明と野蛮の相克をテーマとする代表作『ドニャ・バルバラ』は,ラテンアメリカ文学の古典の一つとされている。ガリェゴスはベネズエラの歴史と現実,各地方の人々の心理洞察をふまえて,新しい総体としてのベネズエラとその文化を提唱した点で,やはり「クリオリスモ (土着主義) 」派の一人とみなされる。
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