日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガーベレンツ」の意味・わかりやすい解説
ガーベレンツ
がーべれんつ
Georg von der Gabelentz
(1840―1893)
ドイツの言語学者、シナ(中国)学者。言語学者である父親の影響で、早くからW・フォン・フンボルトの著作に親しむ。ライプツィヒ大学教授などを務め、青年(少壮)文法学派と直接接触があったが、音韻変化に関するこの学派の仮説に関する理論闘争にはかかわりをもたなかった。18世紀の普遍文法に対しては理解ある態度を示し、A・シュライヒャーに代表される自然科学的言語観は拒否して、人間の精神の優位を認めた。概論的大書『言語学』(第2版1891)は、パロールparole、ラングlangue、ランガージュlangageの三大区分、共時的研究と通時的研究の区分などの考え方を含み、フンボルトとF・ド・ソシュールをつなぐものとみなされている。
[在間 進 2018年6月19日]