きだみのる(読み)キダミノル

デジタル大辞泉 「きだみのる」の意味・読み・例文・類語

きだ‐みのる

[1895~1975]小説家鹿児島の生まれ。本名山田吉彦パリ大学で古代社会学を学び、独自の文明批評を展開した。著「気違い部落周游紀行」「道徳を否む者」、共訳に「昆虫記」など。

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20世紀日本人名事典 「きだみのる」の解説

きだ みのる
キダ ミノル

昭和期の小説家,評論家,翻訳



生年
明治28(1895)年1月11日

没年
昭和50(1975)年7月25日

出生地
鹿児島県名瀬市(奄美大島)

本名
山田 吉彦(ヤマダ ヨシヒコ)

学歴〔年〕
慶応義塾大学理財科〔大正6年〕中退,パリ大学文学部〔昭和14年〕卒

主な受賞名〔年〕
毎日出版文化賞(第2回)〔昭和23年〕「気違い部落周游紀行

経歴
慶大中退後、ジョセフ・コットに師事し、アテネ・フランセの教師となる。昭和8年から14年にかけてはパリ大学で古代社会学を学ぶ。帰国後翻訳・執筆に従事、学生達と八王子郊外の恩方村で「気違い部落」のモデルとなった廃寺に住み、23年「気違い部落周游紀行」を刊行、毎日出版文化賞を受賞した。以後、多彩で独特の創作、文明批評を発表。主な著書に評論「日本文化の根底に潜むもの」「部落の幸福論」「東京気違い部落」「ニッポン気違い列島」や小説「猟師と兎と賭と」「渚と潮」、自伝的作品「道徳を否む者」「人生逃亡者の記録」、紀行「南氷洋」「東南ア大陸ハプニング記」などがあり、翻訳面でも林達夫との共訳・ファーブル「昆虫記」(全20巻)の他デュルケム「社会学と哲学」やバンダ「知識人の反逆」など多くの作品がある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「きだみのる」の意味・わかりやすい解説

きだ・みのる
きだみのる
(1895―1975)

小説家。本名山田吉彦。奄美(あまみ)大島名瀬(なぜ)の生まれ。アテネフランセの創設者J・コットの薫陶を受け、パリ大学で古代社会学を専攻。ファーブル『昆虫記』、レビ・ブリュールなどの訳著がある。東京・八王子市外の閉鎖的な一集落を鏡として、生態史的な方法によって日本文化の原形を探った小説『気違い部落周游(しゅうゆう)紀行』(1946。毎日出版文化賞)、エッセイ『日本文化の根底に潜むもの』(1956)などで文壇に新風を吹き込み、自伝風の『道徳を否(いな)む者』(1955)、『単独生活者の手記』(1963)のほか大船渡(おおふなと)市に転住して「気違い部落」の漁村版『渚(なぎさ)と潮』(1961)を書いた。

[高橋新太郎]

『『きだみのる自選集』全4巻(1971・読売新聞社)』『『気違い部落周游紀行』(冨山房百科文庫)』

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百科事典マイペディア 「きだみのる」の意味・わかりやすい解説

きだ・みのる

小説家,エッセイスト。本名山田吉彦。奄美大島生れ。慶応大学理財科中退。パリ大学でマルセル・モースに師事。《気違い部落周游紀行》(1948年)で毎日出版文化賞受賞。東京近郊の村落共同体の持つ日常的な論理を描くことによって,特異な文明批評の観点を確立した。翻訳にレビ・ブリュール《未開社会の思惟》,ファーブル《昆虫記》(林達夫と共訳)などがある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「きだみのる」の意味・わかりやすい解説

きだみのる

[生]1895.1.11. 鹿児島,名瀬
[没]1975.7.25. 武蔵野
小説家。本名,山田吉彦。慶應義塾大学理財科中退,文学部にも学んだ。第2次世界大戦後,疎開地での混乱現象を風刺した『気違い部落周游紀行』 (1946) で一躍有名になり,『部落の幸福論』 (58) ,『東京きちがい部落』 (60) などの作品で文明批評を行なった。翻訳の名著に L.レビ=ブリュールの『未開社会の思惟』 (35) ,『ファーブル昆虫記』 (58,共訳) がある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「きだみのる」の解説

きだ みのる

1895-1975 昭和時代の小説家。
明治28年1月11日生まれ。昭和8年フランスにわたり,パリ大で古代社会学をまなぶ。23年「気違い部落周游(しゅうゆう)紀行」で毎日出版文化賞。自由と放浪を愛し,独特の文明批評で知られた。昭和50年7月25日死去。80歳。鹿児島県出身。慶大中退。本名は山田吉彦(よしひこ)。著作はほかに「日本文化の根底に潜むもの」,訳書にファーブル「昆虫記」(共訳)など。

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367日誕生日大事典 「きだみのる」の解説

きだ みのる

生年月日:1895年1月11日
昭和時代の小説家
1975年没

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