日本大百科全書(ニッポニカ) 「キックボクシング」の意味・わかりやすい解説
キックボクシング
きっくぼくしんぐ
ボクシングに似た格闘競技。タイの国技であるタイ式ボクシング(ムエタイ)に日本の空手を組み入れた日本独得の競技。タイ式は主武器が足技(あしわざ)で、ボクシングのルールでは認められていない膝(ひざ)けり、肘(ひじ)打ちが認められている。これに空手のけりや投げ技を加えたのがキックボクシングである。
競技方法は1ラウンド3分で3ないし5ラウンド行い、1ラウンドごとに2分間の休憩がある。審判は主審と副審2人。採点は5点法による減点法。階級はボクシングと同じウェイト制で7階級、グラブは4~8オンスである。
1964年(昭和39)極真会空手の3選手がタイに遠征、その試合を企画した野口修(おさむ)(1934―2016)はボクシングとは違うスピード、スリル、迫力に感動してキックボクシングを発案した。初めて一般に公開されたのは沢村忠(ただし)(1943―2021)がデビューした1966年4月の試合で、翌年にはテレビで全国放映された。現在、日本キックボクシング・コミッションと本来のタイ式ボクシングのルールを尊重する全日本キックボクシング・コミッションなどがある。なお1978年藤原敏男(1948― )は500年ともいわれるムエタイ史上初めて外国人のチャンピオンとなった。
[石井恒男]
『写真集『戦士――キックボクシング20年史』(1984・スポーツライフ社)』