キツネノカミソリ(読み)きつねのかみそり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キツネノカミソリ」の意味・わかりやすい解説

キツネノカミソリ
きつねのかみそり / 狐剃刀
[学] Lycoris sanguinea Maxim.

ヒガンバナ科(APG分類:ヒガンバナ科)の多年草鱗茎(りんけい)植物。鱗茎は広卵形、径2~4センチメートル、外皮は黒褐色になる。葉は長さ30~40センチメートル、幅8~10ミリメートル、早春に伸び、夏には枯れ、葉の枯死後に花茎が出る。花茎は高さ30~50センチメートル、茎頂に3~5花をつける。花は8月に開き、黄赤色、花被片(かひへん)は長さ5~8センチメートル、雄しべは6本で花被片とほぼ同じ長さ。本州四国九州および中国に自生し、北海道(渡島(おしま))に帰化した報告がある。名は、葉形を剃刀(かみそり)に見立てたもの。変種のオオキツネノカミソリは全体がより大きく、花被片は長さ9センチメートルに及び、雄しべは花冠から伸び出る。

[清水建美 2019年1月21日]


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百科事典マイペディア 「キツネノカミソリ」の意味・わかりやすい解説

キツネノカミソリ

本州〜九州,東アジア野原や,山麓にはえるヒガンバナ科の多年草。葉は緑白色線形で柔らかく,春に出て夏には枯れる。8〜9月,高さ30〜50cmの花茎を出し数個の黄赤色の花を開く。花被片は6枚。おしべは6個で,その長さは花被片とほぼ同じ。種子球形で大きい。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キツネノカミソリ」の意味・わかりやすい解説

キツネノカミソリ(狐の剃刀)
キツネノカミソリ
Lycoris sanguinea

ヒガンバナ科の多年草。日本各地の山地に自生し,黒褐色の球根がある。葉は春に出て,夏のうちに枯れる。線形,鈍頭で帯白色のため,カミソリの名はこれから出た。秋突然に,球根から長さ 30~45cmくらいの花茎を出し黄赤色の6花被片をもつ花を2~3個ずつつける。

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世界大百科事典(旧版)内のキツネノカミソリの言及

【ヒガンバナ(彼岸花)】より

…ヒガンバナ同様三倍体で,種子を結ばない。キツネノカミソリL.sanguinea Maxim.(イラスト)は本州,四国,九州に広く野生し,花は朱色で花被のへりは波打たない。花色,花被の形や大きさなどにいろいろな変異があり,いくつかの変種が区別されている。…

※「キツネノカミソリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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