日本大百科全書(ニッポニカ) 「タピオカ」の意味・わかりやすい解説
タピオカ
たぴおか
tapioca
キャッサバの根塊からとったデンプン。キャッサバデンプン、マニオカデンプンともいう。キャッサバは東南アジア、アフリカ、ブラジルなど熱帯地方では主食に近い重要な資源となっている。タピオカの製造は、まず原料のキャッサバを水洗後、摩砕機ですりつぶし、水中にデンプンを洗い出し、沈殿させて集める。このデンプンを、水をかえながら沈殿を繰り返すか、遠心機にかけるなどして精製し、脱水後乾燥する。キャッサバの根塊には有毒成分の青酸が含まれているが、水浸、加熱、乾燥などにより除去される。このようにして純白で不純物の少ないタピオカが得られる。タピオカにはいくつかの加工品がある。タピオカパールは、湿った状態のタピオカを径3~6ミリメートルの球形につくり、加熱して表面だけを糊化(こか)したもので、さらに小さい球形にしたものはタピオカシードという。タピオカフレークは切片状に乾かしたもの、タピオカフラワーは微細粉にしたものである。タピオカは煮ると透明な糊(のり)状となり、消化吸収もたいへんよいので、牛乳や砂糖などを加え、病人食や朝食として用いられる。タピオカプディングなどデザートにも用いる。工業用としては、糊料、接着剤に利用される。
[河野友美・山口米子]