日本大百科全書(ニッポニカ) 「キユーピー」の意味・わかりやすい解説
キユーピー(株)
きゅーぴー
マヨネーズとドレッシングで首位を占める食品会社。1919年(大正8)にソースその他食料品製造を目的として東京・中野に設立された食品工業株式会社が前身。1925年に国産初のマヨネーズを製造し、「キユーピー」の商標で中島董(なかしまとう)商店から発売した。第二次世界大戦中には原料難からマヨネーズ製造を中止したが、戦後に東京・府中で生産を再開した。1957年(昭和32)にキユーピーと社名を改め、翌58年には、従来の瓶入りに加え、チューブ入りマヨネーズと国産初のフレンチドレッシングを発売した。1960年代から大手食品企業のマヨネーズ市場への参入が相次いだが、合理化努力と値下げ政策で寄せつけず、72年には中島董商店から販売部門を引き継ぎ、製造・販売一体体制を整えた。堅実経営で定評があり、近年は工場のFA(ファクトリー・オートメーション)化に取り組み、「総合タマゴ産業」として卵黄、卵白の利用に加え、卵殻をカルシウム剤として活用するなどのほか、ファイン・ケミカル、植物工場などの新分野も手がけ、特色ある食品企業を目ざしている。資本金241億円(2008)、売上高2324億円(2007)。
[中村青志]
キューピー
きゅーぴー
cupie
ローマ神話に出てくる恋愛の神キューピッドcupidをかわいらしくおどけた表情につくったマスコット人形。頭のとがった裸体の童形で、背中に小さな羽がはえている。セルロイド、ゴム、プラスチック、陶製などがあり、大きさも種類が多い。1909年アメリカの女流画家が描いたキューピーの絵をもとに、12年以降欧米で人形が製造された。初期の人形は陶製やセルロイド製が主で、やがて日本にも輸入され、国産品も盛んに出回るようになった。大正期から昭和10年(1935)ごろにかけてセルロイド玩具産業は全盛期を迎え、キューピー人形はその花形となった。意匠もさまざまで大小数十種が生産され、逆に欧米へ輸出された。第二次世界大戦後は可燃性を避け、プラスチック製となった。
[斎藤良輔]