改訂新版 世界大百科事典 「キンバイザサ」の意味・わかりやすい解説
キンバイザサ (金梅笹)
Curculigo orchioides Gaertner
小型の黄色の花をつけるキンバイザサ科の多年草。鉢植えにして観賞用に用いられることがある。地下茎は垂直で円柱形,上部は褐色の繊維におおわれる。葉は線状披針形で叢生(そうせい)し,長さ10~35cm,軟毛を散生する。花は5~8月,根際から1~3cmの短い花茎を出し,黄色の花をつける。花茎は1株より何本も出る。花は直径1~1.5cm,細長い花筒部があり,花冠は平開する。子房は下位。果実はやや肉質で裂開せず,種子は楕円形で黒色,一端にかぎ形の付属体がある。本州南西部,四国,九州の日当りのよい草原にまれに生育する。種としてはインド,マレーシア,オーストラリアに広く分布する。根茎は皮膚病などの治療に用いられる。同属のC.latifolia Dry.は高さ1m近くに及ぶ大型の植物で,観葉植物として温室に栽培されることがある。
キンバイザサ科Hypoxidaceae
キンバイザサ科は子房下位の点でかつてはヒガンバナ科に含められていたが,ヒガンバナ科は散形花序をもつ特徴でまとまった群であり,現在では直接の類縁はないと考えられている。5属約140種を含み,熱帯性のグループである。
執筆者:矢原 徹一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報