日本大百科全書(ニッポニカ) 「キンメリア人」の意味・わかりやすい解説
キンメリア人
きんめりあじん
Cimmerian
カフカスとアゾフ海の北部に居住していた民族。キンメルCimmer, Kimmer人ともいう。その起源は明らかでないが、スキタイに追われて、紀元前8世紀末にアナトリア方面に進出したと考えられる。言語学的にみると、キンメリア人はイラン系に属すると考えられるが、その故地についてはいまだに定説がない。前717年ころ東方に進出してウラルトゥを攻撃したが、その後アッシリアのサルゴン2世に敗れ、ふたたびアナトリアに引き返した。アナトリアでは、前7世紀後半、フリギア、リディアを滅ぼしている。この時期が全盛期であるが、衰退も早く、前637年から前626年に最終的に滅亡した。歴史的資料のなかでは、その後見当たらず、おそらくカッパドキア付近に定着したものとされる。
[糸賀昌昭]