アリウム(読み)ありうむ

デジタル大辞泉 「アリウム」の意味・読み・例文・類語

アリウム(allium)

ヒガンバナ科ネギ属植物総称ネギニラニンニクなど。園芸上は観賞用のオオハナニラ・ギガンチウムなどをいう。

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精選版 日本国語大辞典 「アリウム」の意味・読み・例文・類語

アリウム

  1. 〘 名詞 〙 ( [ラテン語] allium ) ユリ科の属名の一つ。世界中に分布し、ネギ、タマネギラッキョウ、ニンニク、ニラなどが含まれる。園芸上は、この属の観賞用の種類をいう。アリアム。アリナム。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アリウム」の意味・わかりやすい解説

アリウム
ありうむ
[学] Allium

ユリ科(APG分類:ヒガンバナ科)ネギ属の総称。北半球に約450種あるといわれる大きな属で食用のネギ、タマネギ、ニンニク、ラッキョウなども含まれる。普通は秋植えの球根草で、花にネギ臭のないものを観賞用とし、約40種ほどが栽培される。原産地はヨーロッパ、アジア、北アフリカ、北アメリカであるが、北アメリカのものは栽培されず品種改良も顕性選抜程度しか進んでいない。ねぎ坊主の美しさを観賞するために栽培され、茎が強く花持ちのよい品種は切り花に、茎の短いものは鉢物または花壇用にされる。花は頂生の球状散形花。種子よりは球根の大球種になると開花までに数年を要するものもあり、また2年目に開花する小球性のものもある。球根は小指の先くらいのものから、球周り20センチメートルにも達する大球種まで大差がある。

 よく栽培される観賞用品種として以下のものがある。ギガンチウムは草丈1~1.5メートル、青紫色の小花が3000個以上密集する大球種。6月咲きで、切り花、花壇向き。シュベルティは草丈30~40センチメートル、花球が径40センチメートルにも達する巨大花をつける大球種で、花色は暗藤桃色。花つきは粗く、5月下旬咲きで切り花向き。スファエロセファルムは草丈約1メートルで、赤紫色の小輪花をつける小球種。6月中旬咲きで切り花向き。カラタビエンセは灰緑色の中輪花をつける矮性(わいせい)種。5月中旬咲きで鉢植えおよび花壇用とする。オレオフィルムは桃紅色の小輪花をつける矮性種。5月下旬咲きで鉢植え用によい。

[川畑寅三郎 2019年1月21日]

栽培

日当り排水のよい肥沃(ひよく)な土地を好み、大球種は15~30センチメートル間隔に、小球種は3センチメートルぐらいの間隔で深めに、10~11月に植える。普通の土なら1平方メートルに石灰を200グラムぐらい、植える前に鋤(す)き込むとよく、肥料は油かすを多めに施す。また球根は開花後に茎葉が枯れたら掘り上げ、網袋などに入れて、日陰につるして保管する。

[川畑寅三郎 2019年1月21日]


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改訂新版 世界大百科事典 「アリウム」の意味・わかりやすい解説

アリウム
Allium

ユリ科ネギ属Alliumの園芸用に栽植される球根植物の総称。ネギ属には食用のネギタマネギニンニクニラリーキなどや多くの野生種があり,約450種が知られている。観賞用には普通いわれているネギ坊主の美しいものを扱っているが,茎の空洞のものを除外しても約40種が使われている。大半が秋植えの球根植物で,草丈が1.5m以上にもなるものは切花用に,小球性のものが多い矮性種は鉢植えや花壇用に使われる。普通は数枚の葉が早春に地に接して展開し,5~6月に花茎を出し,球状の散形花序に多数の小さな花を咲かせる。主要な種としては,高性種のアリウム・ギガンテウムA.giganteum Regel(原産イラン,大球性巨花で濃藤色,小花およそ2000輪以上)をはじめ,アリウム・シューベルティイA.schubertii Zucc.(原産パレスティナ,巨大輪淡紫色,中型),アリウム・スファエロセファルムA.sphaerocephalum L.(俗称は丹頂,原産西ヨーロッパ,イラン,紅紫色,小球性矮性種),アリウム・オレオフィルムA.oreophilum Meyer(原産カフカス,桃紅色),アリウム・カラタビエンセA.karataviense Regel(原産トルコ,白に淡桃緑色,大球性)などがある。普通10~11月,排水良好な日当りのよい土地に球根の直径の2倍くらいの間隔に植え込み,覆土は深めにする。茎葉が枯れる6月に掘り上げて,日陰で乾燥,貯蔵する。
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百科事典マイペディア 「アリウム」の意味・わかりやすい解説

アリウム

ネギやニラなどを含むユリ科の一属で,日本にもノビルギョウジャニンニク,ヤマラッキョウなど十数種が野生する。野菜,薬草として栽培されるものが多いが,普通アリウムと呼ばれるのは切花,花壇,鉢植で観賞用にするものをさす。おもに地中に鱗茎があり,葉は根生で円筒形が多く,春〜夏,球形の散形花序を頂生する。多くは秋植えで用土は粘質壌土がよい。アリウム・モリーは南欧原産。4〜5月黄花を開く。高さ30cm。切花用。アリウム・ローゼンバキアナムはトルキスタン原産。60cmほどの高さになる。鱗茎はやや球形,花茎は円筒形,花序は球形で大きく,紫紅色。切花用。アリウム・ギガンテウムは中央アジア原産。前種に似るが高さ1m前後になり,球形で紫紅色の花序は径10〜12cmと大きい。花壇,切花用。アリウム・スファエロセファロンはヨーロッパから西アジアの原産。球形の花序の頂部が紫紅色に色づきはじめたころに〈丹頂〉の名で出回る。切花用。本来食用のリーキも人工的に曲げた花茎が観賞用に用いられる。切花用。

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世界大百科事典(旧版)内のアリウムの言及

【ネギ(葱)】より

…ユリ科の多年草(イラスト)。別名をネブカ,ヒトモジなどともいう。普通1~8本に分げつして族生する。鱗茎はつくらず,葉は短縮して茎に互生し,葉鞘(ようしよう)部と葉身部とからなっている。葉鞘部は鞘(さや)状で,相互に密に重なり合って茎状の構造(偽茎)となる。葉身部は長さ30~70cmに達し,表裏のない円筒状で先はとがり,生育するにつれて内部の組織が崩壊して中空となり,途中から折れ曲がる。蠟粉を帯び青緑色を呈する。…

※「アリウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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