日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギンダラ」の意味・わかりやすい解説
ギンダラ
ぎんだら / 銀鱈
sablefish
blackcod
[学] Anoplopoma fimbria
硬骨魚綱カサゴ目ギンダラ科に属する海水魚。北海道からオホーツク海、ベーリング海を経て、南カリフォルニアまで分布する寒海性魚類。体は細長く、背びれは2基でよく分離する。第2背びれは臀(しり)びれと同大で、対在している。産卵期は1、2月ごろで、浮性卵を産む。卵径は2ミリメートル前後である。体長2.5センチメートルぐらいの仔魚(しぎょ)は沖合いの海面を漂い、ときには群れをなして湾内に入ってくる。成長するにつれて深みに入る。普通、水深300~600メートルの泥底にすむ。5年で体長約60センチメートル、20年で1メートル余りになる。魚類、甲殻類などなんでも食べる。
おもに延縄(はえなわ)や底引網で漁獲される。北洋での漁獲がもっとも多く、切り身やみそ漬けにして、北洋ムツの名でも市販される。食紅で着色されることもある。脂肪分が多く、新鮮なものを刺身にするとマグロのトロに似た味がする。カナダやアメリカでは薫製にする。肝臓からとる油には多量のビタミンA、Bを含む。この魚は日本ではギンダラ、カナダではブラックコッド(クロダラ)とよばれているが、タラ科の魚類とは遠縁で、むしろアイナメ科魚類に近縁である。近縁種に、アブラボウズがある。
[尼岡邦夫]