ギーゼキング(読み)ぎーぜきんぐ(英語表記)Walter Gieseking

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギーゼキング」の意味・わかりやすい解説

ギーゼキング
ぎーぜきんぐ
Walter Gieseking
(1895―1956)

ドイツピアノ奏者。20世紀前半を代表する巨匠の一人。フランスリヨンに生まれ、ハノーバー音楽院でカール・ライマーに学び、1920年にデビュー。23年のヨーロッパ楽旅と26年のアメリカ・デビューの成功で、短期間のうちに名声を確立した。第二次世界大戦中ナチスに協力したかどにより戦後2年間活動を禁止されたが、47年に復帰、フランスとアメリカではボイコット運動がおこったものの、結局、その実力によって往年の名声を取り戻した。53年(昭和28)に来日。繊細なタッチが生み出す音の美しさ、感情におぼれすぎない端正なスタイルのため、とくにモーツァルトドビュッシーラベル演奏は、一時期を画する名演と評された。ベートーベンの演奏も忘れがたい。ロンドンで没。

[岩井宏之]

『ギーゼキング著、杉浦博訳『ピアノとともに』(1968・白水社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギーゼキング」の意味・わかりやすい解説

ギーゼキング
Gieseking, Walter (Wilhelm)

[生]1895.11.5. リヨン
[没]1956.10.26. ロンドン
ドイツのピアニスト。ドイツ人を父に,フランス人を母としてフランスで生れ,1911年両親とともにハノーバーへ移り,同市の音楽院で K.ライマーに師事。第1次世界大戦後ヨーロッパ各地で,26年以後アメリカでも演奏。特にドビュッシー,ラベルらフランス印象派の作品の演奏者として定評がある。晩年古典派の作品をも好んで演奏。師ライマーとの共著『現代ピアノ演奏法』 Modernes Klavierspiel (1931) ,『リズムと強弱表現とペダル』 Rhythmik,Dynamik,Pedal (38) により,のちのピアノ奏法に多大な影響を及ぼした。作曲,編曲も数曲残す。 53年来日。

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