日本大百科全書(ニッポニカ) 「クイーン・エリザベス号」の意味・わかりやすい解説
クイーン・エリザベス号
くいーんえりざべすごう
Queen Elizabeth
イギリスのキュナード社の所属であった世界最大の豪華客船。ジョン・ブラウン造船所において1936年12月に着工、1938年9月進水、1940年完成。8万3673総トン。長さ313.5メートル、タービン4基、出力16万馬力、速力30ノット前後。船客定員2160人、乗組員1296人。処女航海は第二次世界大戦中であったため、1940年2月極秘のうちにニューヨークへ行ったが、同年11月に8200人の兵員輸送船に改造されてシンガポールに行ったのをはじめとして、約5年間で81万1324人を運んだ。これは人員輸送の最多記録である。第二次世界大戦後1946年10月6日に改装を完了し、サウサンプトンからニューヨークへ向かって商船として初航海を行った。その後船客激減の波に押されて、1969年7月アメリカに売却され、フロリダのエバーグレーズ港で「浮かぶ会議場」として係留使用された。1972年1月香港(ホンコン)にて改装中、火災のため沈没した。クイーン・メリー号が姉妹船である。
[茂在寅男]
クイーン・エリザベス2
Queen Elizabeth 2 1969年、1世号と同じくジョン・ブラウン造船所において建造された。1996年改装。7万0327総トン、全長293.5メートル。ディーゼル機関9基、航海速力32.5ノット。船客定員1496人。船の外観が近代的で、中央に扁平で高さ20メートルの煙突が1本ある点が特徴である。1982年のフォークランド紛争の際、兵員輸送に使用された。2008年退役。
[茂在寅男]