日本大百科全書(ニッポニカ) 「クラーク・ベケデレモ」の意味・わかりやすい解説
クラーク・ベケデレモ
くらーくべけでれも
Clark Bekederemo
John Pepper Clark
(1935― )
ナイジェリア、イジョー・ランド出身の詩人、劇作家。初めはJ. P. Clarkという筆名で作品を発表。イバダン大学卒業後新聞記者となり、1962年アメリカに渡り、プリンストン大学研究員になった。そのときの体験から得た反米感情をつづった『アメリカ、彼らのアメリカ』(1964)で論議をよんだ。帰国後イバダン大学アフリカ研究所に勤め、文芸誌『ブラック・オーフューズ』と『ホーン』の編集に従事。ナイジェリア市民戦争(ナイジェリア戦争)のとき、ビアフラ側についた詩人ショインカとの対立は有名である。1972年ラゴス大学教授となり、1980年に退官。82年夫人と共同で劇団「ペック」を設立し、市民の演劇啓蒙(けいもう)運動に乗り出した。詩集に、『詩集』(1962)、『潮に浮かぶ葦(あし)』(1965)、ナイジェリア市民戦争犠牲者たちの悲惨をうたった『被災者たち』(1970)、『統一国家』(1985)、『マンデラに捧(ささ)げる詩』(1988)、『楽園からの仲間』(1999)、劇作に『三つの戯曲』(1964)、叙事詩劇に『オジデイ』(1966)、見聞記に『アメリカ、見たまま』(1964)、評論集に『シェークスピアの実例』(1970)がある。イジョーの王室建国にまつわる英雄伝承を文字化した『オジデイ・サガ』(1977)は、第1回野間アフリカ出版賞特別賞を受賞した。なお詩には、G・M・ホプキンズ、W・B・イェーツ、T・S・エリオット、エズラ・パウンドらの影響が色濃い。
[土屋 哲]