スイスの銀行が国際的金融活動に積極的になっていったのは第二次世界大戦後であるが、クレディ・スイスはすでに1940年に初めての海外支店をニューヨークに開設し、積極的な姿勢を示してきた。1978年には国際的な投資銀行業務を行うため、アメリカの投資銀行ザ・ファースト・ボストン・コーポレーションThe First Boston Corp.と提携、1988年に同社を傘下に置いた。そして1989年にグループ企業の持株会社としてクレディ・スイス・ホールディングが組織された。
2023年3月、アメリカでシリコンバレー・バンクSilicon Valley Bankなどの中堅銀行の破綻(はたん)が相次いだことで、銀行セクターにおける信用不安が金融市場でくすぶっており、そのうねりが、かねてより経営不安が強まっていたクレディ・スイスに及び、預金流出や株価下落を引き起こした。同月15日、2022年に同社の増資を引き受け筆頭株主となっていたサウジ・ナショナル・バンクSaudi National Bankが、クレディ・スイスへの追加融資を否定したこともあり、同社の株価は暴落し、一時31%の下落となり過去最安値を更新した。これを受け、スイス金融市場監督機構(FINMA)は、事態の鎮静化を図るべく同社に対する流動性供給(中央銀行が金融機関に資金を供給すること)の可能性を表明したものの、株価の下落は継続した。
『相沢幸悦著『アルフィナンツ金融革命』(1994・同文舘出版)』▽『T. R. FehrenbachThe Swiss Bank(1966, Mcgraw-Hill Book Company, New York)』▽『Beatrice Engstrom-Bondy, Claire MakinSwiss Banking in the 1990s(1991, IFR Publishing, London)』▽『〔WEB〕Credit Suisse Group AG : Annual Reports https://www.credit-suisse.com/about-us/en/reports-research/annual-reports.html(2024年1月閲覧)』